XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

3バンド バーチカルアンテナ4号機

スイッチ切り替えの短縮垂直アンテナ

 

 トグルスイッチで手軽に切り替えられる3バンドのアンテナだが、無手勝流での製作だったので再現性が乏しかった。初めて工作をしようとする方にも試していただけるように、製作上のデータをお示しして再現性を少し高めるようにした。
 コイルの製作がネックになっていると思うが、フイルムケースが入手難になっているため、ホームセンターなどで購入できるアクリルパイプを使うことにした。25mm径のもので45mmほどの長さに切り出したものである。この太さだと中点OPFスイッチを中に入れることが出来る。アクリル板で蓋を作り、そこにスイッチを取り付けた。パイプとアクリル板の蓋を接着することでスイッチを組み込む形状とした。
 給電部にはBNCコネクタを用い、心線側にエレメントを直接取り付ける。GND側にはカウンターポイズを取り付けるためのギボシ端子を付けた。ここに3mほどのワイヤーを複数纏めたものを取り付け、地面に這わせてカウンターポイズ(疑似接地線)としている。
 コイルには10MHz用のコイルとそれに継ぎ足して7MHz用のコイルを巻くのだが、目的の周波数に整合させるために調整が面倒である。そこで。密着巻きでは目的の周波数よりも低いところで整合点が得られる巻き数を巻いておき、その粗密を調整することで目的の周波数に近づける方法をとった。つまり、巻き数を調整するのではなく、巻き線同士の間隔を変えることで整合する周波数に追い込んでいくやり方である。
 アクリルパイプの3カ所に穴を開けておく。巻きはじめと10MHz用のコイルへの中間タップ、そして巻き終わりの線が入る穴である。10MHz用は13ターンを巻く。その引き込みの部分から7MHz用の巻き線を足すのだが、その部分の巻き線の被覆を一部剥がして追加の線をハンダ付けする。追加の7MHz用のコイルは21ターンである。巻き線はテープで仮止めしながら作業するとやり易い。
 上端と下端の穴を利用してアンテナエレメントを取り付ける。短縮コイルはエレメントのどの位置に取り付けるかでコイルの定数が変わってくる。今回は給電点から1mの位置に取り付けた。上側のエレメントはコイルをスルーした状態で14MHzに整合するよう調整する。計算上は(300 ÷ 使用周波数MHz ÷ 4 × 0.95)となり、14.06MHzで使うならば (300÷14.06÷4×0.95=5.06)で全体で5.1mほどになる。そこで、上側のエレメントは4mほどを取り付ける。実際にアンテナとして設置して目的の周波数で整合するよう上側エレメントの長さを調整する。
 次に10MHzでの調整だが、トグルスイッチを中間タップに接続するように倒し、コイルの粗密を変えていく。密巻きでは低い周波数になるような巻き数であるので、巻き線同士の間隔を広げて整合点に追い込んでいく。
 最後に7MHzの調整をするためにトグルスイッチはOFFの位置にして、コイルの追加した巻き線部分の粗密を調整する。
 ここで示した寸法通りに組み立てれば、上記のように調整をすることで7MHz、10MHz、14MHzで使える3バンド バーチカルアンテナとして機能すると思う。性能についてはそれなりのものだが、設置が容易で簡便に使える点は大きなメリットだと考える。
 梅が咲き、春の兆しが見えてきた。野外での運用を楽しんでいただけたらと思う。ただし、このアンテナ仕様はQRP運用を前提にしている。

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