XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

コンパクト 49:1 トランスフォーマー

ボトルキャップに収めた小さな49:1変換器

 EFHW(終端給電半波長アンテナ)は給電点が端にあり、ある程度変則的な張り方でも性能を発揮してくれるワイヤーアンテナである。エレメントが使う周波数の半波長程の長さになるので低い周波数で使う場合にはある程度広い場所が必要だ。しかし、斜めに張ったり、一部を折り曲げたりすることで伸展することができる。また、給電点に同軸ケーブルを用いて給電するのが普通だが、ケーブルを用いず、直接トランスフォーマーをリグに取り付けても運用することが出来る。この場合、嵩張って重たい同軸ケーブルを持ち歩かなくてもよいというメリットがある。
 このEFHWだが、給電点のインピーダンスが高いので、リグとの整合を取るため通常49:1などのトランスフォーマーが使われる。トランスフォーマーに所定の長さのワイヤーを取り付けてEFHWとして機能させる。ワイヤーについては導線であればいろいろなものが使える。所定の長さに切り取ったり、逆に何本かを繋ぎ合わせて所定の長さにする。その場にあるありあわせのワイヤーで作ることができる。しかし、トランスフォーマーについては簡単な構造なのだが、どこにでもあるものではない。あらかじめ作っておくことが必要だ。荷物の片隅に入れておいて、非常時には活用できるコンパクトなものがよい。このコンセプトで、コンパクト・トランスフォーマーを作ってみた。

 以前にもいろいろ試しているのだが、トランスフォーマーとワイヤーの接続をいかにするか、トロイドコアを収める筐体をどのようにコンパクト化するかが課題だった。今回試したのはボトルキャップをケースとして、同じくボトルキャップから切り取った蓋をつけるケースである。また、ワイヤーとの接続はギボシ端子のメスを組み込むことにした。差し込むオスのギボシ端子でなくとも、ワイヤーを丸めて端子に差し込んで接続すれば応急的な使用には耐えられる。

 ボトルキャップが結構大きいので、BNCコネクタを取り付けても結構スペースが取れることがわかった。そこで、10W程度の電力でも使えるように大きめのFT50-43のトロイドコアを使った。線材も0.6mmΦのエナメル線を使い、14:2の巻き線比でトロイドコアに巻いた。
 その周波数でのエレメント長(m)は<142.5÷周波数(MHz)>で求められる。実際にはアンテナを設置してから、ある程度エレメントの長さを調整する必要がある。受信時の雑音が最大になるところを求めるか、最近のリグではSWRメータが内蔵されているので調整することができる。無調整であっても、この計算値のエレメント長ならそこそこのSWRになっているはずである。
 アンテナシステムの非常用応急資材として、拳の中に隠れてしまうこのコンパクトなトランスフォーマーを備えておいてはいかがだろう。30分ほどの簡単な工作である。

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