XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

MultiBand EFHW?

1本のエレメントで3バンド対応のEFHW

 EFHW(終端給電半波長アンテナ)の半波長という部分に囚われすぎていたようだ。半波長のエレメントに給電するのだからと、その長さになるよう切り替えスイッチを付けたりトラップをつけたりして複数のバンドで使えるアンテナを作ってきた。ところがダイポールアンテナとこの半波長アンテナの違いを考えている時、エレメントへの電波の乗り方は同じではないかと気づいた。ダイポールの場合は4分の1波長のエレメントを左右に広げる形で真ん中から給電する。EFHWの場合は2分の1波長のエレメントの端から給電する。電波の乗るエレメントの長さは同じである。ただ、給電点が異なるのでそのインピーダンスが異なるのだ。
 ダイポールではその基本周波数の整数倍の周波数でも動作することが知られている。整数倍の周波数では整数分の1の波長になるので基本の周波数に調整したエレメントの長さに具合よく電波が乗ってくれるからだ。EFHWでも同じではないか。そこで実験をしてみると案の定、整数倍の周波数でも整合点が出ていることを確認した。理論的には当たり前のことだったのだろうが、素人はこうした実験をして初めて気づくのである。

 7MHz用のEFHWを作った。半波長のエレメント長を求める簡易式【142.5 ÷ 7.020(MHz) = 20.299(m)】から20.3mのエレメントとし、49:1のトランスフォーマーを整合器として付けたものである。ポールに取り付けて伸展し測定すると7.020MHz付近でSWRが下がり整合がとれていることが確認でした。14.040MHz付近、21.060MHz付近でもSWRは低くなっている。切り替え器もトラップもつけていない1本のエレメントでも複数のバンドで使える終端給電アンテナとして使えそうである。
 
 理論から入った人からは笑われそうなことだが、名称の「半波長」という言葉に拘ってしまったことから陥ったミスであった。整数倍という制約があるので10MHzや18MHz、24MHzというバンドへの応用は難しいが、マルチバンドとして1本のアンテナが使えるのはありがたい。
 次はWARCバンドを含む複数のバンド対応にするにはどうするか試行錯誤を楽しもうと思う。