XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

EFHW整合器

ホジホジ工作で49:1トランスフォーマー

 ネットで安価なBNCコネクタを見つけた。10個で754円である。一方がオスのBNCになっていて他方がスクリューで留めるターミナルになっている。実験時の仮止めなどの用途が多いのだろうが、私はこのターミナルに銅線を取り付けてV字型のダイポールアンテナとして使っていた。とても簡易なアンテナだがそこそこ使うことができた。丸めれば掌に収まってしまうコンパクトなアンテナである。

 このコネクタを眺めていて、内部の配線はどうなっているのだろうと思い分解してみた。樹脂でモールドされているのでホジホジと穴を開けたのだ。どうやら各端子間はワイヤーで繋いであるようで、それぞれの端子を見つけることができた。
 せっかく端子が見つかったので、これを何かに利用しようと考えた。BNCのコネクタとターミナルの間にトランスフォーマーを入れればEFHWの整合器にできる。エレメントを繋ぐだけでアンテナとして使えそうである。これまでさまざまなEFHWに取り付けて実績のある49:1のトランスフォーマーを使うこととする。FT37-43の小さなトロイドコアに2T:14Tの巻き線で作ることにした。

 BNCコネクタのGND部分にハンダ付けする部分だけは30Wのハンダごてでは熱量が不足しうまく作業できず、60Wのもので予備ハンダを行った。端子の周りが樹脂で囲まれているので手早くハンダする必要がある。
 組み上げて周りを熱収縮チューブで覆って完成である。ただし、強度のことを考えるとホジホジした穴はエポキシ樹脂などで埋め戻しておいた方がいいかもしれない。
 4.7kΩの抵抗を取り付けて測定してみるとインピーダンス変換が行われていることが確認できた。ただしHFの低い周波数帯では余りよい値ではない。10MHzから上ならば使えると思われる。

 大変コンパクトなトランスフォーマーである。ターミナルがついているのでワイヤーへの接続も容易だ。ただし、QRP用と考えた方がよいだろう。GoBagの片隅に予備として入れておいて、手近にあるワイヤーを繋げばEFHWとして動作させることができる。
 EFHWの半波長のエレメント長は【エレメント長(m)=142.5÷周波数(MHz)】で計算できる。これは短縮率を加味しての簡易的な計算式だが便利に使える。14MHzのエレメント長を計算しこのトランスフォーマに取り付けたところSWRがほぼ1:1になった。  9:1変換比のトランスフォーマーに替えればロングワイヤー対応のものにすることもできる。広い場所で長いワイヤーを伸展する場合に活躍すると思う。

 安価な部品なので躊躇なく分解することができるが、細かくホジホジするのはなかなか大変だった。それでも、もの作りのおもしろさを味わうには手頃な素材である。