XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

アクリル パドル

工作の容易なアクリル板を使って

 このところアクリル板を使った工作に嵌まっている。アクリル材は専用のカッターを使えば容易に切断することができ、ドリルで穴あけもできる。専用接着剤で短時間でしっかりした接着ができる。ヒートガンなどで熱を加えることで柔らかくなり、容易に成形できる。工作が簡単なので思いついたことをすぐに試せるのだ。
 弱点としては素材が柔らかいため傷つきやすい。また、軽いためどっしりとしたものを作ることは難しい。電鍵やパドルなど机上にしっかり固定して使うものには向かない素材だと思うのだが、発想を変えて手で握って使うものとすれば、面白いものが作れそうである。
 今回は接点の間隔や、レバーの強さ調整などの調整機構を省き、製作時点でそれらの調整をしてしまい、使用時には調整することができないという、とてもシンプルな構造のパドルを作ってみた。
 接点としてはブラインドリベットを用いた。予め下穴を開けておき、リベットをラグ板と一緒にかしめる。ハンドリベッターという専用の器具が千円ほどで入手できる。アクリル板にリベットでラグ板を取り付け、手早く作業すればそのラグ板にリード線をハンダ付けできる。この部分を接触させることでパドルの接点とする。これまでアクリル板は熱に弱いため、ハンダ付けは難しいものと考えてきたのだが、実際にやってみると短時間で手際よくやりさえすればハンダ付けするのはそれほど難しいものではなかった。
 シングルレバーとダブルレバーのパドルを作ったが、レバーを支える部分はアクリル板をL字型に成形したパーツを用いた。基台になるアクリル板に接着することでしっかりとした固定が得らる。レバーは2mm厚のアクリル板を10mmほどの幅にすることでちょうど良い弾性が得られ、バネなどを使うことなくパドルレバーとして操作することができている。
 確実にフィーリングよく動作させるために接点同士をどのように配置するかが問題である。レバーの接点を受けるもう一方の接点は、アクリル板でパーツを作り基台に接着する。狙ったところに接着したつもりでもなかなか思い通りのフィーリングにはなってくれない。そこで熱の出番になる。ヒートガンでその接点を支える部分を熱し、柔らかくなったところで成形すると接点間隔などを変えられる。そのまま冷ませば調整完了である。状況によってはレバーを成形することでも接点間隔を変えることができる。 
 機構が出来上がったら握りやすいようにカバーをつけたい。アクリル板を熱し、柔らかくしてから木片などを当て木として機構を覆うように成形する。基台にカバーを接着してもよいのだが、使っていて機構に手を加えることがあることも考慮してテープを使って基台とカバーを留めておくことにした。
 容易に調整することができないというデメリットはあるのだが、自分だけが使うと割り切ってしまえばそう不便はないであろう。工作が容易なアクリル素材はアイディアをすぐ形にできるので、次は何を作ろうかとあれこれ思案中である。


 アクリル板パドルの製作pdf