XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

送信機の増設

f:id:shig55:20210120000127j:plain

キットを作り上げたら増設手続きが必要

 

 新しいリグが組みあがった。しかし、日本の法律では無線局で使われる送信装置は事前に検査を受けて技術的要件を満たしていることを確認し、許可を得たものでなくては使用することができない。メーカーで売られている無線機は技術適合認定を受けたものがほとんどなので、どのメーカーのどの機種を使うかを届け出れば許可が下りる。しかし、自作機や外国製の機器では自分でそれらの手続きをしなければならない。
 電波環境をきれいにしておくためには致し方のない措置ではあるが、自分で作ったキットの場合、このリグが規制に適合したものであることを証明し、その旨の保証認定を受け、さらに新しい機器の増設という届け出をしなければならない。厄介なことである。

 スプリアス規制が強化され、それをクリアしなければならない。スぺクトラムアナライザーという測定器で調べるのだが大変高価で個人で購入するのは難しい。そこでJARD(日本アマチュア無線振興協会)の測定室をお借りすることにした。とは言っても、高価な機器を自分で操作できるはずもなく、持参したリグを操作し、測定は担当の方にしていただくのだ。部屋の使用料という名目で2200円を支払うのだが、測定データーをいただけるので、それを保証認定の資料として添付することができる。保証認定が得られれば、総合通信局に新しい送信装置の増設として届け出をすることができる。

 事前に予約をし、測定室を訪ねた。担当の方が測定器の並んだ部屋に迎え入れてくれ測定が始まる。規定の周波数で送信できるようにセットし、断続波を送信するための装置を取り付ける。信号の帯域幅や近接スプリアス、広域スプリアスなどを測定する。一番問題になるのは第2高調波だが、これが規定値内に収まっていればほぼ適合と認定されるようだ。測定データをいただいて退出する。時間的には1時間もかからなかった。

 この適合とされたデータと送信機の系統図を添付書類として、総務省電波利用電子申請・届出システムliteのサイトから設備変更の申請書類を作成する。ただし、総務省への送信はせず、データを保存しておく。次にJARDのアマチュア局基本保証のサイトから保証認定の申請をする。この際、総務省のサイトで作成した届出のデータを添付することになる。
 保証認定が行われ、認証が得られるとその旨のファイルがJARDから送られてくる。そのファイルを保存してある届出のデータに添付し、総務省のシステムに送る。審査の状況はサイトから確認することができ、審査が終了したことがわかったら、所轄の総合通信局あて免許状を送ってもらうための返信用封筒を送る。免許状が届けば新たな送信機の増設手続きが終了である。

 メーカー製のリグならば直接総務省に届出をすればよいだけなのだが、自作機やキットの場合には煩雑な手続きが必要なのだ。費用も掛かり、ほぼキットの値段と同じくらいかかってしまう。自作は楽しいのだが、このような環境は自作派には厳しいものがある。  

2ターンMLA

f:id:shig55:20210110073238j:plain

ワイヤーで2ターンのMLAを作ってみましたが・・・

 本来なら太い銅管で作るべきMLAだが、あえてワイヤーで実験している。1ターンのMLAの場合、キャパシタを接続する対極の位置に給電点を置くことが多い。調整しやすいようにキャパシタを下側に配置すると、給電点は上部になり、同軸ケーブルが伸びることになる。給電点をキャパシタのある下側に置ければ重心が下がり設置しやすいMLAになる。そこで、エレメントを二重にして2ターンのものを作ってみることにした。

 バラックの状態で4mのワイヤーを2ターンにしてキャパシタを繋ぎ、測定してみるとしっかり同調点が見つかった。これまでの1ターンの実験から複数のバンドで使えるMLAができるはずだと考えた。多重のエレメントを使った場合の製作例を見るとエレメント同士の間隔を開けて空芯コイルのような形状にしている。私の場合、ワイヤーを使っているので二重のエレメントをゴムのチューブの中に収納してしまうことにした。
 組み上げて測定してみると80m、40mバンドの同調点は見つかったが、それより高い周波数帯では同調点を見いだせなかった。エレメント同士が密着することからインダクタンスが大きくなり、それにより同調するためのキャパシタンスが小さくなりすぎてしまったようである。仮配線で試した結果とは異なり、密接した2ターンの輪の大きさに強く依存した同調になることがわかった。
 想定した仕様とは異なってしまったが、4m長を二重にしたMLAで3.5MHz、7MHzに同調点が得られた。3m長を二重にしたもので7MHz、10MHzの同調点が、2m長を二重にしたものではポリバリコンを使ったが7MHz、10MHz、14MHz、18MHzでの同調点が得れている。それぞれ受信ではそれなりの感度を得ることはできたが、送信については効率が悪いようだ。それでも4m長を二重にしたMLAでは2WのQRP機で3、7エリアの局と繋がることができたが、RSTは319という状況だった。
 アンテナアナライザーでの測定では各バンドのSWRは低く、使えそうなデータである。しかし、QRPを想定した部品を使っており、放射効率がとても低いと思われるので、SOTAのような、よほどロケーションの良い所からのオンエアーでないと運用は難しいだろう。

 ともあれ、エレメントを二重にして、給電点を下側にしたMLAということで実験をしたが、エレメント同士の間隔という盲点を突かれ、思い通りの結果にはならなかった。それでも、MLAというコンパクトなシンプルなアンテナについて学ぶことがたくさんあった。モノづくり、実験はおもしろい。「それでも電波は飛んでいく」という意外性の楽しさを追いかけていく。

 さて、ここまで実験してきてふと気になることが。以前作った、チューナーを使った給電の場合、キャパシタのすぐ脇で給電していたことを思い出した。給電部は上でなくてもいいのでは・・・。実験してみると輪にしたエレメントのどこで給電しても、状況は変わらないことがわかった。というわけで、2ターンMLAは給電点を下にすることとは関わりなく、コンパクトになることだけがメリットというお粗末。

新年おめでとうございます

f:id:shig55:20210101074447j:plain

ナンテン 疫病の早い終息を願って

・・・・ ・-・   ・・・・ ・-・ -・・---
--・-- -・-- -・・- --・-・ ・-・--
・-・・・ -・・・- ・-・-- ・・ ・・-・・ ・・- ---- ・・ 
-・-・- ・・ ・- -・・- ---・- ・-・-・・
--・-- ・・・- --・ -- ・・-   -・ ・- -・-・-
・-・-・ ・-・-・・
-・--・- -・-・ ・--    ・・-・ --- ・-・   
・ ・・・- ・ ・-・ ・-・・-・ ・・・-・
 
HR HR <ホレ>
アケマシテ オメデトウゴザイマス」
アクリヨウ タイサン」
(CW FOR EVER)
<ラタ>

今年は穏やかな年でありますように

Trap EFHW その2

f:id:shig55:20201220083349j:plain

トラップの調整をしたEFHW

 

 2020年の2月にも同じタイトルで書いたのだが、実験を進めるとこのアンテナについてわかってきたことがある。
 エレメントの途中にLとCで構成した同調回路を設けると、設定した周波数で最大のリアクタンスになることから、その周波数に於いてトラップを置いたところでエレメントが終わっているように動作する。これを利用して1本のエレメントの中にいくつかのトラップを設定して、複数の周波数帯で半波長アンテナとして動作させる。
 これまで計算でCとLの値を求め、それに従ってコイルを巻いてトラップを作っていた。一番高い周波数帯の半波長の位置にその周波数に同調するLC回路を入れ、次の周波数に対応するエレメント長はアナライザーで測定しながら求めていた。トラップのLがローディングコイルとして動作するため、計算上の半波長より短くなるためである。
 こうして作り上げたマルチバンドのアンテナだが、実際に使ってみるとトランスフォーマーだけでは整合がとれないことが多かった。そのため、チューナーを使って各バンド毎に整合をとって使っていた。
 
 最近コネクタと一体化したトランスフォーマーの実験をしていて、ことのほか機能してくれるのでいくつものTrapEFHWを作った。その中でトラップの製作に於いて、所定の周波数に同調するよう調整を行った。計算で求めた巻き数やキャパシタンスで作っても同調周波数は結構変動していた。巻き数を変えたり巻き方の粗密を調整して所定の周波数に合わせる調整である。
 こうして作ったトラップではトランスフォーマーだけで複数のバンドで整合がとれたのである。エレメントの給電部から見て、どの周波数でも半波長になるよう調整できたからだと考えられる。以前はこの調整を行わず、計算だけで作っていたので、整合がとれるようにエレメント長を調整してもそれは半波長にはなっていなかったようだ。そのため、実際に使う時、周波数毎に給電部のインピーダンスが異なりチューナーが必要だったのだろう。
 
 小さな気づきではあるが、実験を通して視野が広がったように思う。教科書のどこかに書かれていたことかもしれないが、実体験を通して気づいたことは大きな収穫である。もの作りを通してのこうした学びは楽しい。
 3つのトラップを入れて、40mから17mまでの4つのバンドで切り替えなどの操作をせず、リグの周波数を動かすだけで運用できるアンテナができあがった。なかなか便利である。

プリフィックス

f:id:shig55:20201210203452j:plain

1エリアで交信した局へのQSLカード

 QSLカード(交信証)の並べ替えをした。QSLカードを各局に転送してくれるビューローに送るとき、予め分類しやすいようにプリフィックスを並べ替えるのだ。まとめていくと1エリアの局が多いことがわかる。その中で、ある偏りがあることに気づいた。JA,JH,JRの局が多いのだ。
 無線局にはその電波の出所が明らかになるように通信にコールサインを付加することが定められている。国境を越えて飛んでいく電波なので、国際的な取り決めによって日本ではJAA-JSZ、7JA-7NZ、8JA-8NZという符号がプリフィックスとして割り当てられている。これによりアマチュア局もJA1〇△◇などというコールサインが指定されている。JAのようなアルファベット部分はこの国際的な取り決めに従うが、次の数字部分は管轄する電波管理局を示すものである。その後のアルファベットや数字は各局を識別する符号でサフィックスと言われる。
 かつて、科学技術に大きな関心が寄せられた時期、日本のアマチュア無線従事者免許でモールスコードの試験がない電話級が新設された。これによりアマチュア無線を始める人が爆発的に増え、130万局を超えた世界一のハム人口になったことがあった。そのため発給されるコールサインが枯渇し、1エリアでは7K,7L,7Mは本来管轄通信局を表す数字のうち1~4までを関東総合通信局管内で使う対応がなされた。それでも割り当てができなくなり、現在では一度使われたコールサインの再指定が行われるようになっている。

 プリフィックスの発給順序だが、JAから始まっている、その次にJHが、さらにJRと言う順で発給され、その後はアルファベット順で、7J、7K・・・と続いた。JAというコールサインは戦後再開されたアマチュア無線で発給された最初のコールサインであり、すでに50年以上前から無線をしていた人たちと言うことになる。コールサインの再指定が行われているので一概には言えないのだが、昔から活躍しているJH、JRの人たちが今でも活発に活動されていることが窺える。
 ハム人口が爆発的に増加する前には数年をかけて一つのプリフィックスが発給されていた。アマチュア業務という無線に関わる私的追求をすることに強い関心を持たれた方々だったのだろう。今でも無線の奥深い世界に強く惹かれている様子がこれらのプリフィックスのカードが多いということ表れている。
 
 私はCW(電信)での交信しかしていないので、相手をしてくださった局も多少偏りがあるかもしれないが、交わす交信の内容でも若い方よりある程度の年齢の方が多いように感じる。無線という世界で私的な探求ということのおもしろさは年齢に関係ないはずである。コンテンツだけでなくハードやスキルなどの部分を含めたアマチュア無線の楽しさ、おもしろさをもっと若い人たちに知ってほしいと願う。

熱収縮チューブ

f:id:shig55:20201201082531j:plain

インピーダンス変換トランス、ベースローディングをコネクタと一体化

 これまではビニールテープを使っていた。配線のむき出しになった個所が接触して短絡を起こさないようにテープを巻いていた。しかし、最近はその役割が熱収縮チューブに代わっている。事前にワイヤーにチューブを差し込んでおき、ハンダ付けした後、チューブを移動させて被せてしまえばよい。ヒートガンを使って収縮させるのだが、通常は半田ごてを触れさせることで間に合わせている。剥がれることもなくしっかりと保護してくれるので便利である。
 熱収縮チューブは、熱を加えることであらかじめ記憶させた形状に戻ることを利用したプラスティック系の素材で作られたものである、これを配線の被覆以外にも活用できることに気づいた。
 大きめのものも市販されているので、ある程度の大きさのものならこのチューブで覆ってしまうことができる。つまり、カバーとして、ケースとしての役割をさせることができるのだ。素材が収縮するので、中身の形状がどのようなものでも、その形状に合わせて覆ってくれる。

 このことに気づいて製作したのがEFHWのインピーダンス変換トランスフォーマーバーチカルアンテナのベースローディングコイルである。
 EFHW(終端給電半波長アンテナ)はトランシーバーとの接続部にインピーダンスを合わせるための機構が必要である。その回路を別のケースに入れて作っていたのだが、コネクタ直結で作ってしまい、熱収縮チューブで覆って一体化させることにした。内部の配線はチューブを被せて短絡を防止するようにしておく。全体が組み終えたらチューブを被せ熱風を当てる。チューブが収縮することでコイルなどの部品の位置を固定してくれので、ケースの役割にもなる。
 バーティカルアンテナではベースローディングコイルをコネクタと一体化した。私の場合、小電力(QRP)での運用なので細い線でも対応できる。コアに必要な巻き線をして配線をする。コアはコネクタのセンターピンに被せるように配置し、全体を熱収縮チューブで覆う。エレメントに接続する部分はコイルの細い線へ力だ加わらないようにしなければならない。幾重にもチューブを被せて、エレメントからの力をコネクタへ伝わるようにする。配線を覆うだけでなく、そこにかかる力をチューブで受けて配線を保護するようにした。
 
 熱を加えるという簡単な操作で扱うことのできるこの熱収縮チューブは、まだまだいろいろな場面で使えそうである。色も豊富であり、大きなものも入手しやすくなっている。モノづくりの大きな味方になってくれそうである。

リメイク

f:id:shig55:20201120000047j:plain

昔作ったものが捨てられない

 部屋の片づけをしている時、もう20年以上前に作ったエレキーが出てきた。詳細については忘れてしまった。PICにプログラムしたもので、5つのボタンが付いているので、プログラムの中にメッセージを予め書き込んであり、このボタンで送り出すものだと思う。スピードコントロールがついていないので、スピードは変えられないようだ。記録もないし、電池は消耗していて動作もしない。懐かしさだけなのだが、捨ててしまうのは忍びなく思った。
 ケースだけではあるが、昔の形を活かして作り直すことにした。中身はArduinoのK3NGキーヤーを使うことにする。ボタンが5つあるのでメモリーを4つ使える仕様にし、一つはコマンドボタンとする。パドル部分には押しボタンが使われていたが、間隔が広くストロークが堅いのでタッチパドルに変更する。タッチするパッドの間隔を狭くするため、上面とサイドにパッドを取り付け、90度の角度で親指と人差し指が触れる位置にした。電源は14500のリチウム電池で、充電できるようにチャージモジュールを取り付け、DC-DCコンバータで5Vを得るようにする。Arduinoはこれまでも使ってきたシンプル基板でUNOとして動作させる。
 約半日掛かって組み立てた。一つの基板ではなくそれぞれの機能をモジュール化し、それを熱収縮チューブで覆うようにした。それぞれのモジュールを配線し、後はケースの中に力づくで押し込む。
 送信機へ接続する3.5mmφのプラグは金属製のものが使われていた。長年放置されて光沢を失い、くすんでいた。コンパウンドを使って磨き上げる。元の輝きがよみがえった。今では樹脂製のプラグがほとんどだが、昔は金属製のものが使われていたのを思い出す。
 スイッチを入れると、”Hi ”と応答があり動作を始めた。コマンドモードに入ればさまざまな機能が使える。外見は昔の面影を残しているが、機能は豊富になった。
 
 小学校の5年生の時、初めて水道パイプにコイルを巻いた鉱石ラジオを作ってクリスタルイヤフォーンから音が出ることに驚嘆してから、アマチュアとして電子工作や無線を楽しんできた。その過程でのエレキーだった。一枚の基板上に組み上げるのが定石だったが、最近ではモジュール化の便利さを実感する。個々の機能を持ったものを組み合わせることで一つの機器として作り上げることができる。自作しなくてもチャージモジュールやDC-DCコンバータモジュールなどはとても安価で入手できる。高機能なスケッチが提供されていて、Arduinoとしてすぐに動作させることができる。技術の進歩の恩恵である。

 ノスタルジーに浸りながらも、断捨離ができていないことに気づく。なかなか思い出のあるものが手放せない。少しずつ、思いを断ち切ってものを減らし、やっと部屋の床が見えてきては居るのだが・・・・