私な自作のパドルを使っている。作り上げた当初は使いものにならないくらい酷い動作しかしないが、調整を繰り返していくと徐々にしっくりと動作するようになってくる。調整がうまくできたパドルはとても使いやすいのだ。しかし、調整によってうまく動作しているパドルでも、何かの拍子に調整がずれてしまうと使いものにならなくなる。短点が余分に出てしまったり、長点が抜けてしまったりまともな符号にならないのだ。
交信をしている最中にこの現象が起きてしまうと最悪だ。パドルを交換しようとするのだが私のリグはとても小さい。プラグを差し替えるだけでも細々した作業になる。パニックになってすぐに交信に戻ることができない。相手局は突然符号にならない信号の後,沈黙になってしまったことに困惑することだろう。心配と迷惑をかけてしまう。
このようなことへの対策としてどうすればよいか考えた。最初から予備のパドルを接続しておけばよい。二股になったプラグが市販されている。これを使って2つのパドルを接続しておくことにした。
シングルレバーパドルとダブルレバーパドルである。それぞれ特徴があり使い勝手が異なる。私のシングルレバーパドルはアクリル板に接着剤で組み立ててあり、すぐに調整することは出来ない。接点間隔を変えたいときにはヒートガンを使って部材を熱し成形することになる。一方、ダブルレバーのパドルはビスを使って組み立てている。レバーの位置や接点間隔などビスを緩めれば調整できる。しかし、このことが前述の突然の不具合の原因でもあるのだ。しっかり締めたはずでも、ビスが緩み設定が変わってしまうとまともな符号が出せなくなる。
2つのパドルを接続しておくことはトラブルへの対策という意味ではあるが、交信を楽しむという意味でも有用だ。交信をしながらパドルを替え、使い心地を比較する。送信速度によっても使い心地が異なってくる。さまざまなパドルを作っていて、使うには心許無い状況であっても予備のパドルがあれば試作パドルを思い切って実戦に投入することができる。二股のコネクターはなかなかの優れモノだと思う。
また、二股のプラグは2つのジャックが並列に接続されている配線なので、ここに2本のラインのプラグを差し込むことで中継器として使うことができる。さらに、電信体験装置に接続することで2つの相手と繋ぐことができ、3人での交信ができたり、さらに数珠繋ぎのようにしていけばもっとたくさんの人と交信をすることができる。二股プラグの使い方はまだまだありそうだ。おもしろいガジェットである。