XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

MLA キャパシタ部と給電部の一体化

f:id:shig55:20220110080821j:plain

2つのタイプで一体化の試み

 三角帆型MLAでも実験したのだが、給電をループの対角線に位置で行うのではなく、キャパシタの傍で行ってもMLAとして動作した。また、ループの形が輪の形になっていなくても、歪な形の輪であっても交信することができた。放射効率など性能については定量的な測定を行う術がないため不明であるが、「それでも電波は飛んでいく」ことは確かめられた。
 そこで、もっと大胆にMLAを作ってみることにした。キャパシタ部と給電部を一体化させ、それに適当なワイヤーを接続する。ループの伸展は円になることに拘らず、その場の状況に応じて広げるというアバウトな方法である。この方式なら持ち運びに嵩張って困っていたアンテナを小さくまとめることができる。
 手持ちの260pFのポリバリコンと、FT37#43のトロイドコア、そしてBNCコネクタを一つにまとめてみた。トロイドのリンクコイルの巻き数は5Tとした。ワイヤーを接続する部分はビスと蝶ねじを使ったターミナルである。これに3mほどのワイヤーを接続すると14MHz、10MHz、7MHz帯でSWRが通常使えるほどに下がる整合点を見いだすことができた。これより高い周波数ではSWRの値があまり下がらなかった。エレメントのワイヤーを短くしたり、リンクコイルの巻き数を減らしたりすると高い周波数でもSWRが下がるようである。MLAは同じ大きさのエレメントや同じリンクコイルの巻き数で広い範囲の周波数で使うのには難があるようだ。 製作記事

 整合することはわかったので実践で試してみる。樹木の枝などを利用してワイヤーエレメントを伸展する。今回、パラコードを使い逆三角形の伸展をした。パラコードの中ほど二か所にバタフライノットで輪を作る。その輪にエレメントを通し、下に垂れたワイヤーに給電部(キャパシタ部)を接続する。パラコードを水平になるよう張れば逆三角形のMLAになる。コンパクトな装備を目指しているのでアナライザーなどの測定器は使わず、受信機のノイズの大きさだけでキャパシタの調整をする。ポリバリコンを回して一瞬ノイズが大きくなるところを見つけるのだ。
 結構たくさんの局のシグナルが聞こえてくる。しかし、CQを出している局に呼びかけても無視されることが多い。この小さなアンテナでは放射効率が低いのだ。それでも強力に入感している局に呼びかけをしているとコールバックがあった。近隣の県の局ではあったが交信することが出来た。
 空間に占めるアンテナ面積という視点からEFHWやダイポールなど半波長や一波長に伸展したアンテナの方が効率がいいのは明らかである。しかし、このようなコンパクトでアバウトなアンテナでも交信することが出来るのが面白い。さまざまな偶然が積み重なって一期一会の出会いを楽しむ。これもアマチュア無線の醍醐味なのではないだろうか。

謹賀新年

f:id:shig55:20220101074023j:plain

2022年 あけましておめでとうございます

 

 裏庭にセンリョウが綺麗な実をつけている。白く小さく咲く花はあまり目立たなかったのだが、実が色づくと葉の色との対比が美しく存在感を増してくる。あまり陽の当たらない所にあるのだが、赤く色づいた小さな実は輝いている。この植物は東南アジア方面の暖かいところに自生し、半日陰を好むようだ。別名クササンゴ(草珊瑚)とも呼ばれる。赤い実は珊瑚のブローチを思わせる趣がある。冬になり花の少なくなった庭に彩りを添えてくれる植物である。
 柿の実があり、その他にも木々の実が残っているうちは大丈夫なのだが、鳥たちにとって食べるものが少なくなってくるとこのセンリョウも狙われるようになる。ムクドリなどが大挙して来襲し、一日で丸坊主にされてしまう。その攻撃を避けてこの緑と赤の彩りを楽しむためには新聞紙などを上から被せ、鳥たちの眼から守らなくてはならなくなる。それでも、人間が独り占めせずに、ほどほどに楽しみ、ほどほどに自然の営みに任せることも必要なのだろう。
 
 もう十数年も前、いやもっと前からだろうか、パンデミックへの警鐘が鳴らされていた。MARSがありSARSもあって感染症へのさまざまな対策が考えられていたが、実際COVID-19のパンデミックが起こってくると想定外のことだらけだった。インフルエンザよりも強力な感染力があっても季節が変われば収まる位の脅威としか考えていなかったのだ。しかし、感染が始まり状況が分からないままに禍が拡大した。変異が次々に起こり、繰り返し流行が続いている。感染防止や医療対応が後手後手に回り、日常生活への影響が大きくなっている。かつてスペイン風邪が流行り、多くに犠牲者が出たことは歴史として知っていた。しかし、現実にその渦中に入ってみると時間的な経過とその及ぼす影響の広範囲なことについては想像をはるかに超えている。

 その災禍に対して試行錯誤を繰り返しながらも立ち向かっている人間の凄さ、素晴らしさも感じるのだ。気候の荒々しい変動やCOVID-19のパンデミックなどさまざまな禍と感じられることが同時に起きている。科学技術が進歩し、多くのことが解明されてきたのだが自然はまだまだ分からないことだらけである。平穏な楽しい生活を望んでいても人間の思い通りにはならないが、自然の営みの中でどうにか生き残っていく術を見出していくのが人間なのだろう。

 新しい年が始まる。パンデミックが早く収束し、気持ちも晴れ晴れと毎日が過ごせるようになることを祈って自分を奮い立たせる。謹賀新年。

30年前のCQ誌

f:id:shig55:20211220073559p:plain

30数年前のCQ hamradio

 

 

 本棚を片付けていたら古い雑誌が出てきた。1990年の5月号CQ hamradioである。この号の特集がアウトドア ライフで、当時所属していたキャンピングクラブが取材を受け、仲間たちが記事を執筆したものだった。
 キャンピングクラブでは無線を活用していた。携帯電話は1970年から登場していたのだが、1990年の携帯電話の人口普及率は0.6%とまだ一般的ではなかった。オートキャンプを趣味とする仲間たちは、関東の各地に住んでいて月に何回かはキャンプ場に集まっていた。各地から集合したり、キャンプサイトを探したりするとき互いに連絡を取り合う必要があったのでそれぞれの車には無線機を積んでいたのだ。本来のアマチュア業務とは少し意味合いが違うのだが、移動による伝播実験という名目で連絡を取り合っていた。無線のための移動というより、移動のための無線という意味合いが強かった。それでも全員アマチュア無線技士である。効率よく電波を飛ばすためにアンテナなどのさまざまな工夫をしたりしていた。運用面でも、車で移動する局同士が繋がらなくなると、間に固定局を挟んで中継し、情報を交換しながらキャンプ地に行き着いたこともあった。
 そんな活動をしていたクラブに取材要請が来たのだ。キャンプ場にさまざまなアンテナが建てられ、移動運用のシャックが作られた。アウトドアライフを楽しみながら編集者との打ち合わせや撮影をし、焚火を囲んで無線談議に花が咲いたのを覚えている。

 当時のキャンピングクラブではキャンプに行かない日でも夜な夜なオンエアーミーティングが開かれていた。各地に広がるクラブ員がある周波数に集まり、情報交換をしていた。今ではリモート会議と言われるものの音声版である。同時に複数の人が話を聞くことができるので、必要な時に発言をし、あとは聞いているというスタイルだった。
 しかし、携帯電話が普及してくると、車での移動中の情報交換も携帯電話が使われるようになり、クラブでの無線の使用は少なくなっていった。そして、私はマイクが電鍵やパドルに替わり、アマチュア無線の本体の姿である交信を通して電信の技能向上や機器の改良、アンテナなどの製作実験などが多くなっていった。

 アマチュア無線を楽しむ人々の数の変遷を見ると、情報交換のツールとして一時期爆発的な増加をみたが、その後携帯電話の普及とともに減少が続いていた。それが最近になって増加傾向にあるという。アマチュア無線は携帯電話と違い、スタンドアローンで運用することができ、また、同時に多くに人に情報を伝えることができることが防災にも役立つと認識されてきたからだという。そして再開局された人の中に電信に興味を持たれる方が結構いるという話も聞く。無線通信の元祖ともいえる一番シンプルな、電波を断続することで情報を交換できる電信がアマチュアの世界で更に息を吹き返してくることをを願っている。
 30年前の雑誌を見つけて昔を懐かしんだのだが、ネットの活用など新しい分野が広がってきていても根本的な楽しさは変わっていない感じだなぁ。

アルミ板を使ったMLA

f:id:shig55:20211210090336j:plain

アルミバーを使った自立型MLA

 MLAと言うと自立型がほとんどである。ループを銅管や太い同軸線で作り簡単な支柱によって自立させている。エレメントが太い方が導通抵抗も小さくなりアンテナとしての効率が良いのかもしれない。それは分かっていて、私はエレメントにワイヤーを使い、それを支持するものに添わせる形でループを作ってきた。
 実験をいろいろしている中で、ループの形が正円でなくても、給電点がキャパシタの対角上でなくとも、細いワイヤーであっても、効率はともかく電波が放出され、伝播コンディションが味方してくれれば交信を楽しむことが出来ることに気が付いた。
 ワイヤーをエレメントにしたMLAの特徴は、それを何かに沿わせなければ形状を保てないことである。十字に支柱を入れてひし形の形状にしたり、横一本の支柱で吊るして凧のような形にしたり、ヨットの帆のような形にしたりして実験をしてきた。ワイヤーで構成するとコンパクトにまとめることが出来るので持ち運びには便利な面もある。しかし、設営にはそれなりの手間がかかるという一面もあった。

  ホームセンターを巡っているとき、アルミ素材の売り場で細長いアルミ板見つけた。15(12)×2×995mmというサイズだ。銅管や同軸ケーブルのような円柱ではないが、軽くて、適度の柔軟性があるのでループを作るのに使えそうである。
 最初の試作は携帯性を重視して、12mm幅、995mm長のものを3つに切り分け、330mm長のものを9本繋ぎ合わせてループにした。接続部は容易に折り畳めるようビス1本で留めたのだが、9本も繋ぐとビスを固く締め詰めたつもりでも接続部が回ってしまい輪にするのが難しかった。また接触抵抗が大きくなりエレメントとしての動作が不安定であった。そこで試行錯誤の末、タッピングビスをを使って接続することでどうにかループを形作れるようになった。綺麗な輪にすることはできたのだが自立させることはできず、木の枝などに吊るして運用していた。  製作記事
 二度目の試作では携帯性は悪くなるが、アルミ板の定尺のまま(995mm長)使うことにした。接続部はビス2本止めとし、一方の板にタップを切り3mmφのビスを取り付けておき。もう一方の板には穴を開けて、そこにビスを通し、輪にするために曲げたときの板にかかるテンションを利用して1本のビスだけに蝶ナットで締め付ける方法を用いた。こうすることでループのアルミ板の接続箇所を4か所にし接続不良による動作不安定を減らす構造とした。また、給電部とキャパシタ部をカメラの三脚に取り付けるようにし、そこにエレメントも固定した。これによってMLA自体を自立させることが出来た。
 分解すると1mほどの板が3本、給電部のアクリル板、それと三脚というコンパクトにまとめられる。持ち運び時の長さが気になるところだが、携帯は可能である。製作記事

 QRPならではの工作だが、容易に手に入る材料でアンテナの実験ができるのは楽しい。リグに接続してキャパシタを回していくと急にノイズが大きくなるところが見つかる。そこが整合の取れたところと目安をつけて運用している。自作を楽しむのもアマチュアの特権である。

これでも飛ぶの?

f:id:shig55:20211201084458p:plain

こんな小さなMLAでも・・・・・

 

 もちろんQRPでの実験である。これまでもいろいろなMLAを製作してきたのだが、MLAをトランシーバー直結にしたらコンパクトな運用ができるのではないかと思いつき実験をした。
 BNCコネクタを取り付けたケースの中にMLAのキャパシタを入れ、そのすぐ傍でトロイドコアによる給電をする仕組みである。エレメントはターミナル端子によって取り付けるようにして、太めの銅線を使うことにする。できればエレメントを自立させたいのであまり大きなループは望めない。
 手元にある素材をかき集め作ってみた。キャパシタは260pFのポリバリコンである。給電に使うトロイドコアはFT37#43の小さなもので、リンクコイルは5Tとした。エレメントに使う銅線はたまたま見つけたFケーブルの片方で130cmほどの長さである。
 組み立ててリグに繋いでみる。ポリバリコンを回すと受信機のノイズが急に大きくなるところが見つかる。いろいろなバンドで試してみると10MHz帯から28MHz帯のバンドでポリバリコンの調節によってこのノイズが急に大きくなるところがあった。
 アンテナアナライザで測定してみると、やはりそれぞれのバンドでSWRの下がるところが見つかった。7MHzでは残念ながらキャパシタの値が不足して整合が得られない。エレメントの大きさを大きくすれば整合点が見いだせそうである。SWRの値は低いバンドの方が高く、21MHz以上ではほぼ1に近いところまで追い込めることがわかった。10MHzではSWRは2程になるが、使えなくはないと思われる。このSWRの値はトロイドコアのリンクコイルの巻き数が影響しているので、エレメントの長さを変え低い周波数での使用をする場合にはリンクコイルの巻き数を調整することでもっとSWRを下げることができそうである。
 さて、これが実際の運用に使えるかである。たまたまこの日はコンテストが行われていた。14MHzバンドでは海外の局が多数入感していた。呼びかけてみるが残念ながら応答は得られなかった。相手はkWの出力で出ているので強力に電波が届いているのだが、それに対してこちらは数Wの出力でこのようなコンパクトなアンテナでは太刀打ちできないのは当然だろう。
 コンパクトなアンテナだが整合はとれて受信はできることはわかった。送信をしてもポリバリコンが焼損するようなこともなく使えそうである。このアンテナから放出される微弱な電波がどこまで届いてくれるかである。        製作記事
 ある日、FT818NDにこのアンテナを繋いで21MHzをワッチしていた。強力な局が聞こえてきたので呼びかけた。何度か呼びかけを繰り返すうちコールバックがあった。ゾーン24のBY6の局であった。こんなコンパクトなアンテナでも海を超えて電波は飛んでくれたようである。その後、14MHzと21MHzで国内の3局と交信することができた。このコンパクトなアンテナは効率からもいつも使えるものではないが、伝播コンディションなどの条件が良ければ交信が楽しめそうである。こんな小さなアンテナからでも飛んでくれる電波の不思議さである。

A1 CLUB 1000th OAM

f:id:shig55:20211120121629j:plain

OAM 1000回記念

 本日、第1000回記念のオンエアミーティングが行われた。A1CLUB(エーワンクラブ)という電信愛好家のクラブが毎土曜日の朝に行っているミーティングである。
 このクラブでは現在会員番号が3872番まで発行されている。国内の会員が多いのだが海外の人たちも参加している。1998年10月18日10人のメンバーが集まってクラブが発足したという。今では電気通信局の置かれている各エリア毎にクラブ局を持ち、多くの電信愛好家が電信を通して交流している。
 2002年6月7日に電波を通じての会合としてOAM(オンエアミーティング)が始まり、そのミーティングが今日で1000回となった。ミーティングはキー局が中心となり会員がそのキー局に呼びかけてレポートの交換と挨拶をするという形式で行われることが多い。クラブのOAM部会の皆さんが企画運営をしてくださっており、それぞれの地域からキー局として電波を出してくれる。通常は1局がキー局を担当し、時間と共に伝搬状況が変化し、使える周波数帯も変わっていく状況が数時間のミーティングの中で感じられるものである。
 今回、1000回記念ということで13の局がキー局を務めてくれた。午前中、さまざまな周波数で随時オンエアミーティングが行われ、13局すべてと交信ができた会員には記念品や賞状などが贈られるということで大変にぎわっていた。早朝の3.5MHzバンドは開けている時間が短いため数十局が一斉に呼びかけをしていた。大変なパイルアップになっていてその周波数がボワァーンという塊りになるほどだった。7MHzが開き始めるとキー局が広い範囲に分散したので比較的静かに交信が行われていた。しかし、ガガガガという酷いノイズが広がっており、交信の邪魔をしている。最近始まったこの酷いノイズはスプリアス規制の対象にはならないのだろうか。
 どの周波数にキー局が出てくるかは公開されていないため、それを探すのも楽しみであった。同じように複数のキー局で行われた第999回のプレイベントも賑わっていたのだが、1000回の節目ではよりたくさんの局が参加され、皆でお祝いをしながらこのイベントを盛り上げた。
 私はQRPでワイヤーアンテナという貧弱な設備での参加なので、普段のOAMではキー局の信号は聞こえていても交信できないことが多い。強力な電波を出す局の陰に隠されてしまうのだ。そのため。込み合う時間帯を避けてミーティングの終わる頃合いを見計らって、呼びかける局が減ってきたころを狙って参加するようにしている。今回も3.5MHzでは多くのキー局が聞こえていたが、私の電波は潰されてしまい1時間呼び続けたが交信することが出来なかった。7MHzでは空いているキー局を探し回り数局と交信できた。早朝から始まったミーティングなので9時頃になると終わってしまうキー局もある。13の局と交信することはできなかった。それでも1エリアの社団局が高い周波数でも運用してくれたので、複数のバンドでの交信をすることが出来たのは幸運である。
 
 1000回という記念を迎えたOAMであるが、これを支えてこられたOAM部会の皆さんのご苦労はいかばかりだったろうと想像する。OAMを継続していくことは至難なことであったと思う。そのご苦労に感謝の言葉しかない。ありがとうございました。これからもCWライフを楽しませていただきたいと思う。

使い心地

f:id:shig55:20211110095602j:plain

使い心地を追求して工作を楽しむ

 

 電鍵やパドルで交信をしていると、その使い心地が気になってくる。スイッチの断続でモールス符号を生成しているだけなのだが、手に馴染み、思い通りの発信ができる時と何か違和感があり符号の乱れが生ずる時がある。
 電鍵やパドルは機構的には単純なスイッチで、操作に従ってONになればよいのだが、レバーを押したとき接点が閉じるまでの時間、つまり接点のギャップは重要である。ガツンガツンと広めのギャップを好む人もあれば、指を軽く触れただけで動作するような極小のギャップを好む人もいる。
 テンションの硬さの影響も大きい。レバーを押したときの反発の強さだ。コイルばねやマグネット、素材の弾性を使ったものなどさまざまな方式があり、微妙に感覚が異なる。強さを調整できるような機構を備えたものも多い。
 また、竿やレバーと呼ばれる部分の剛性も使い心地に関わってくる。太い金属で作られたものは接点と一体化しているのが感じられる。この剛性が弱いと操作に心許無さが感じられる。
 接点が閉じたときの感覚も重要である。接点は金属同士が触れ合うのだが、ガツンとふれあいものとソフトに受け止められるものがある。接点に使われる金属による違いであろうが、その微妙な違いが使い心地に関わてくる。
 使い心地は大変に微妙であり、それを満たすためにさまざまな機構が考案されている。市販されている電鍵やパドルは精密でしっかりした機構になっており、さまざまな人が使えるよう多くの調整機能が組み込まれ、さらに美的な要素も加わっているので大変に高価なものになっている。

 しかし、誰でもではなく、自分一人が使うとなれば、モールス符号をタイミング良く生成するスイッチという機能に焦点を当て、簡単な機構でも動作させることができる。自分が使い心地の良いフィーリングに作り込めばよいわけである。既製品のように万人が使えるようさまざまな調整機能を組み込む必要はない。自分が妥協できる範囲にさまざまな要素を落とし込む。そんな思いから作ったのが写真のアクリル板を使ったパドルである。
                            製作についてpdf

 用途は移動運用などちょっとした運用をする時に気軽に使えるものとした。掌に握って使用することを前提にコンパクトにし、アクリル板の弾性を使って駆動部分とする。接点はビスとスペーサーの金属部分を接触させる構造である。こんな簡易で単純なものでと訝しがられることと思うが、使い心地はそれほど悪くない。何よりも自分の好みで長さや位置を決めて作っていけるので、調整機能がなくても問題ないのだ。そして安価に容易に取り組めるので自分好みの使い心地を追求して何台も作ることができる。
 高級な機器を活用するのも一方だが、このような自分だけの機器を手作りで楽しむのもいいものである。