XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

MLAでQRP運用

小さな設備でどのくらい交信できるか挑戦

 このMLAとQRPの組み合わせはビギナーには勧められない。無線の面白さが十分わかっている方ならこのような遊びが楽しめるだろう。
 アルミ線を使った簡易なMLAを部屋の天井から吊るし、QRPで運用してみた。運用期間は今年初めから3月末まで。毎日運用したわけではないができるだけバンドの様子をワッチするようにした。何も聞こえない時も多かったが、たくさんの局が交信しているのか聞こえ賑わっている時もあった。アクティビティーの高い時と、伝播コンディションに恵まれたときにはこのような小さな設備でも交信することができた。小さなアンテナから電波が遠くまで飛んでくれている様子を思うとわくわくしてくる。アマチュア無線の面白さである。
 使った設備は2.1mほどの長さで3mmΦ程のアルミ線を輪にして、260pFのポリバリコンで同期が得られるようにしたMLA(マイクロループアンテナ)。給電は55cm程の銅線を輪にしてBNCコネクタに直接接続した小ループを沿わせている。2mほどの細いCOAX(同軸ケーブル)でリグにつないだ。トランシーバーはMTR4BというQRP機で、単三型のリチウム電池を2本直列にしたものを内蔵している。出力は概ね2W程度出ている。このリグは3.5MHz、7MHz、10MHz、14MHzでの運用ができるのだが、3.5MHzバンドはこのアンテナでは難しいので残りの3バンドでの運用である。

 結果的にはこの期間で99局と交信することができた。7MHzが24局、10MHzが72局、14MHzが3局である。比較的安定して使える7MHzは聞こえている局は多いのだが、微弱な電波しか出せないこの設備からの運用ではなかなか交信することが難しかった。その点、運用局数の少ない10MHzでは聞こえていればほぼ交信することができた。14MHzは伝播コンディションの把握が難しく、交信局数は少なかった。
 相手局は国内のほぼ全域と交信できている。エリア別の交信局数を見ると
1エリア 38   2エリア 14、  3エリア 6   4エリア 5
5エリア 3   6エリア 0   7エリア 14   8エリア 1
9エリア 6   0エリア 12
 いただいたレポートはコンディションの良い時には599で届いている時もあったが339と厳しい状況で信号を取っていただいている場合もあった。強力な信号を送れないことで相手局には寛容と忍耐をお願いすることになるのだが、自然の中を電波が飛んでくれるロマンを感じてお相手いただけることに感謝である。
 この運用で自分のコールサインに/P(スラッシュP)を付加した。通常の運用ではなく仮設状態での運用、QRPでの運用という意味合いだったがなかなか理解していただくことが難しく、”/?”を返されることが多かった。”/1”と取られる局もあり、自分勝手な付加でご迷惑をおかけしてしまったようだ。また、”/QRP”と返してくださる局もありこちらの意図が伝わったようで嬉しかった。
 簡易MLAとQRPでも交信を楽しむことができた。会話を楽しむという交信ではないが電波が届くことを確認できる交信である。小さな設備での運用は伝播の面白さを楽しめるものだった。

MLAの製作(XRQTechLabサイト)