XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

A1クラブ 非常通信訓練 2023  考察

庭の片隅で非常通信訓練

 あの大震災の教訓を忘れないよう、普段の備えをしていこうという思いから、無線愛好家の集まりであるA1クラブで非常通信訓練と称して通信実験を行った。被災地からの通報を遠隔の人に伝えるため、HF帯の周波数を使い、徒歩で持ち出せる設備によって通信をしようというものだ。       (A1クラブの結果報告)
 私は被災地から救援を求めるために小さな無線機で呼びかける役のアクティベーターとして訓練に参加した。その際気づいたことを記録しておきたい。
 
運用実績:    3/11 2時間30分運用 3/12 2時間30分運用
        応答を得た局数    7MHz 9局    3.5MHz 4局
        応答のあったエリア 7MHz 1,2,4,7,0エリア 3.5MHz 1,0エリア
        呼びかけて交信した局 14MHz 9エリア 1局   
設備:    昨年は直径70cm程のスモールループアンテナを使ったが、電波の飛びが芳しく なく、もう少し効率のよいものということで今年はTrapEFHWを用いた。長い ワイヤーになるので設営に広い場所をとるが、それなりに電波は飛んでくれた。無線機はリチウム電池3本で動作させるQRP機である。2~3Wの出力が得 られる。掌に載るほどの大きさなので持ち運びに適している。野外は騒音がある場合もあるので耳を覆うようなヘッドフォンを用いた。CQの送出は空振りになることが多く、手元で操作できる外付けのキーヤーを使った。
 
設営:    今回は庭先に移動しての運用だった。アンテナポールを立木に沿わせて立て、それを頂点として逆V字型にアンテナを伸展した。給電点から1mの細い同軸ケーブルでリグに接続した。
    長時間の運用では、椅子やテーブルになるようなものを現地で調達してできるだ け楽な姿勢で運用できるようにする必要がある。寒さ対策も必要で、風よけになるものがあるといい。ヘッドフォンやパドルのラインを長くして、無理な姿勢にならないよう配慮した。

運用:    災害時にはいつ、どこで非常通信が始まるかわからない。今回の訓練では運用時刻は公示されていたが具体的な周波数などは運用局に任されていた。そのため、どの周波数が用いられるか分からず、小さな設備からの微弱な電波を見つけてもらうのが困難だった。小さな出力でも見つけてもらえさえすれば交信することができる。14MHzではCQへの応答はなかったが、こちらから北陸の移動局に呼びかけて交信することができた。伝播状況にもよるのだが、21MHz、28MHzでは交信を聞くこともできなかった。
    アマチュア局の非常通信では局が各地に散らばっているというメリットを生かして、その時空に出ている局に呼びかける方がより早く通信ルートを設定できるのではと思った。

 訓練は実際にやってみることで多くの気づきがある。災害はいつどのように起こるかわからない。常日頃、身近なところから備えをしていきたいものである。

※ なお、非常通信の周波数として4630kHzが定められていて定時の監視が行われているという。アマチュア局もこれを使うことができ、直接、自衛隊や漁業無線局など関係機関と交信をすることができる。しかし、A1クラブでは通常の設備での対応を主眼として今回のような訓練を行っているとのこと。