XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

1個の電池でのチャレンジ

思った以上の長時間運用ができました。

 ネットで動画を見ていて見つけたのだが、1つの電池でどのくらい交信ができるかの挑戦である。イギリスのハムG4BSKさんが006Pという9Vの積層乾電池を使い、QCXminiを駆動するチャレンジだった。QCXminiの定格電圧は12Vで設定されているので、9Vでは0.8W程度の出力しか出ない。また、7V程に電圧が下がると機能を停止してしまう。小さな電池1個の容量でどの位の交信ができるか、興味をそそるものだった。

 私も挑戦してみることにした。電池は同じ006Pを使うことにする。トランシーバーはKD1JV Steve WeberさんのデザインしたMTR5Bを使うことにした。MTRは定格電圧が9Vで、6V近くに下がっても駆動するのを確認している。当然電圧が下がれば出力も低下するのだが、QCXminiよりも長時間運用できると期待したのだ。
 実験の開始時006Pの電圧を計ると9.3Vほどだった。これをMTR5Bに接続して運用を始める。7MHzで出力を計ると1.8Wほど出ていた。
 アンテナは地上高5mほどに伸展した自作Trap EFHWである。7MHzを聞いてみると、土曜日の午前中だったので結構にぎやかだった。50分ほど運用をして8局と交信した。1,2,3,7,9,0エリアの局である。電圧は8V台に下がったが運用には支障はない。
 その後も他の用事をしながらの運用でとぎれとぎれではあったが、のべ195分間の運用をした。7MHzと10MHzで28局との交信である。14MHzでは3エリアで運用している移動局は聞こえて来ないのだが、それを呼んでいる6エリアの局が聞こえた。これなら遠距離と交信できるのではないかと、CQを10分間繰り返したが、応答は得られなかった。QRPでのCQは難しい。
 結局、この日の運用では国内の全エリアと交信できたので「1Day AJD」完成である。この終了時点での電池電圧は8.25V 7MHzでの出力は1.2Wになっていた。断続した運用で、電池を休ませる時間を入れることができ、多少回復ができたようだった。
 2日目、日曜日。始業時の電池電圧は8.37Vで7MHzでの出力は1.2Wだった。約1時間ほどの運用を3回行い、7MHzと10MHzで、のべ182分の運用だった。交信できた局数は27局。パイルアップになっている局は遠慮して、できるだけ交信できそうな局に呼びかけをした。それでも強力な電波で運用する局には負けてしまい、呼びかけを繰り返すことが多かった。終了時の電池電圧は7.59V、7MHzでの出力は0.8Wであった。
 3日目、月曜日は用事があり外出していたので1局のみの運用。
 4日目、火曜日。のべ147分の運用で15局と交信した。うち2局は7MHzのQRP周波数でCQに応えてもらったものである。4,6,0エリアを除く7エリアだった。 
 5日目、水曜日。始業時の電圧は8V。断続的な運用で累計164分の運用だった。交信数は16局。10MHz1局以外は7MHzでの交信である。1,2,3,5,9,0の6エリアと交信することができた。だんだん電圧が低下してきてリグの動作がおかしくなってきたところで終了とした。電池1個を用いて、5日間のべ688分、11時間28分の運用で87局と交信できた。交信局数は少ないがQRPなので納得するところである。

 1個の電池でどの程度の運用ができるかとのチャレンジだったが思った以上の結果だった。これだけの運用ができるのなら、小さな電池1個だけでも移動運用が楽しめそうである。単6電池6本分という小さな電池なのだが予想以上の容量を持っていることに驚かされた。
 QRPは伝播コンディションに負うところが大きい。それでも小さな設備でも十分楽しめることを再認識したチャレンジであった。