XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

Classical Bands TrapEFHWアンテナ

5Bands TrapEFHW

 

 (tr)uSDXには通常のバージョンの他にクラシカルバンドバージョンとハイバンドバージョンがある。収納されているLPF(ローパスフィルタ)は5つなので、どのバンドの組み合わせでLPFを付けるかによってバージョンが異なる。プログラムには予めそれぞれのバージョンが組み込まれていて、メニューのBand Configから選択できるようになっている。私はクラシカルバンドのバージョンを作った。
 エンコーダースイッチをダブルクリックすることでバンドが順に切り替わり、エンコーダーによる周波数設定のレンジが1kHzに自動的に設定される。つまり目的の周波数に迅速に移動できる。おおむね目的の周波数に移動したらレンジを500Hzや100Hzに切り替えて運用できる。容易にバンドを切り替えられるのは便利である。しかし、同時にアンテナもその周波数に適応するもの切り替えなくてはならない。
 マルチバンドで使うアンテナで便利なのがMLAだ。キャパシタを調整することで多くのバンドで整合を得られる。しかし、なかなか効率の良いものにするは難しい。私の作ったワイヤーMLAでは交信はできるが効率はいまいちだった。そこでより効率の期待できるワイヤーアンテナを作った。切り替えをしなくても、1本のアンテナで復数の周波数で整合がとれるように工夫したアンテナである。私はEFHW(終端給電半波長アンテナ)を使っているが、これにトラップを取り付け、マルチバンド化している。 (tr)uSDXのクラシカルバンドバージョンでは3.5MHz、7MHz、14MHz、21MHz、28MHzに出ることができる。1本のアンテナとして纏めると結構長いものになる。そこで、分割できる仕様にした。28MHz~14MHzまでの本体部分と7MHzを付け加える部分、そして3.5MHzを付け加える部分である。さらに3.5MHzの付加部にはローディングコイルを入れることで短縮化を図った。こうすることで全長26mほどのアンテナになっている。
 トラップ部分についてはLとCの並列にした場合の最適な値を計算してくれるサイトがあり、そこで得られた定数をトロイドコアの巻き数を計算してくれるサイトに入力してトラップとしての定数を得た。しかし、これは計算上に値であり、実際にはかなりずれが生ずる。そこで、しっかり目的の周波数で最大のリアクタンスになりトラップとして機能するかを測定しながら調整した。トロイドコアの巻き方の粗密を変えたり、状況によっては巻き数を増減するか、キャパシタンスの値を変更する作業である。ほしいキャパシタンスの定数値を得るためには複数のコンデンサを並列に入れる方法を使った。
 エレメントを分割するため、ギボシ端子を使っている。トラップと一体化して雌のギボシ端子を取り付け、本体側に近い端は雄のギボシ端子を取り付けてある。7MHzを運用する場合には3.5MHzの部分は必要ないので取り付けず、短く伸展することができる。
 しかし、接続においてそのままギボシ端子だけでは伸展したときのテンションで抜けてしまうおそれがあるので、この部分にプラスティックの結束バンドを噛ませてある。雄のギボシ端子の側をこの結束バンドに結びつける。トラップ側のエレメントは結束バンドに結びつけて熱収縮チューブで固定した。   TrapEFHWの製作

 QRPながら5バンドに出ることができる(tr)uSDXである。この機種は回路上の制約なのか近隣の周波数に強力な局があると抑圧をまともに受けて受信できないことが起こるが、のんびりと手軽に楽しむにはなかなかおもしろいと思う。