XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

カードを使った5Band shift EFHW

5Band shift EFHW

 移動運用では荷物をできるだけ小さくすることが必要になる。一番嵩張るのがアンテナだが、ワイヤーアンテナなら割合小さく纏めることができる。コンパクト化のために、ワイヤーの巻き枠と一体化したアンテナを作ってみた。
 クレジットカードなどで使わなくなったカードを巻き枠にするものである。カードを切り抜いてワイヤーを巻きやすいようにする。そして、カードにBNCコネクタとマッチング用のトランスフォーマーも組み込んでしまうのだ。使うときにはワイヤーを伸展して、カード部分を直接リグに接続してもいいし、同軸ケーブルを介して接続してもいい。アンテナからのテンションを避けるため、カードにはストラップを付けて支持できるようにしてある。

 カードに巻けるワイヤーの量には限りがあるので、今回は14MHzから28MHzの5バンドで使えるシフトEFHWとした。それぞれのバンドで半波長になるようワイヤーの長さを継ぎ足していく方式である。一番高い周波数の28MHzの半波長エレメントに継ぎ足しをして24MHz用のEFHWとして使う。さらに継ぎ足して21MHz用、さらに足して18MHz用、さらに14MHz用として使うのだ。接続にはギボシ端子を用い、ワイヤーにかかるテンションを逃すために結束バンドを輪にして入れてある。必要のないエレメントは取り外しておくこともできる仕組みだ。   shift EFHWの製作
 EFHWの場合、給電点のインピーダンスがとても高くなるので、整合をとるためにトランスフォーマーを用いる。巻き線比1:7でトロイドコアに巻いたものだ。実際にはFT50 43のトロイダルコアに1次側3Tと2次側21Tを巻いている。この構成で1:49のインピーダンス変換ができる。

 カードにエレメントを巻いていくと、ちょっと太っちょだが纏めることができた。しかし、これを伸展する際、カードを回転させながらワイヤーを解いていかないと、ワイヤーに撚りが掛かってしまう。手指に8の字に巻き取っていく纏め方ならすんなり解けてくれるのだが、課題である。

 カードサイズにまとめるのは14MHzまでだろうが、オプションとして別のワイヤーを用意すればより低い周波数帯での運用も可能である。その際、ローディングコイルを用いるなどエレメントの短縮化を図ることもできる。荷物を小さくまとめることとの兼ね合いである。

 アンテナをマルチバンド化するにはトラップを使う方法もある。継ぎ足し部分のギボシ端子の代わりに各バンドのトラップを取り付けるのだ。エレメントの長さはトラップの影響で半波長ではなくもっと短くなる。しかもバンド切り替えの操作が必要なくなるなどメリットがある。一方、このシフトEFHWではフルサイズの半波長の長さのエレメントが使えるという利点がある。使用状況によって使い分けをすることになるだろう。どちらでもこのカードサイズで掌に載るくらいのコンパクトアンテナを作ることができる。     Trap EFHWの製作