XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

リチウム電池を電源に

USBから充電できる電源

 以前、乾電池1本でどのくらい運用できるかを試してみた。思いの外、長時間の運用ができて驚いたものである。QRP(小電力)での運用なら消費電力も小さいので乾電池の容量でも賄えたのだろう。手軽に扱えるところはよいのだが、乾電池は使い捨てである。繰り返し使えるリチウム充電池がこのような用途に使えないか試してみた。
 リチウム充電池は大きな容量が得られ、性能が年々向上している。さまざまな用途で使われているので入手が容易になっている。しかし、誤った使い方をすると事故を起こすことがある危険な面もある。かつて、飛行機に積まれていた電池が火を噴くという事故も大きく報道されたことがあった。十分な知識を持った上で慎重に扱う必要があるようだ。従って、本稿で扱う内容はあくまで私の実験であり、同じような実験をされる場合はすべて自己責任となることをご理解いただきたい。
 さて、リチウム充電池は物理的なダメージに対して脆弱な面があることはもちろんだが、化学作用で機能するので激しい反応に注意が必要だ。大きな電流が扱えることから過充電や過放電、短絡などの状態になると非常に危険だといわれている。そのため機器に内蔵される場合には保護回路が挿入されているのがほとんどだ。しかし、個人的にリチウム電池を利用しようとする場合、その保護回路がついていない”生電池”を使うことが多い。

 保護回路や充電回路は専用基板として市販されている。それらを組み合わせることで保護回路つきの充電池として構成できる。また、昇圧回路も市販されているので3.7Vの電池電圧をリグで使う9Vや12Vに変換することも可能だ。これらを組み合わせてQRP機の電源を作ってみた。
 昇圧しても電流がどの程度取れるか心配だったが、MTRというトランシーバーは出力が小さい分必要な電流も小さいので小さなアップコンバーターでも大丈夫だった。どのバンドでも2W弱の出力を得ている。また、受信時の雑音の影響もあまり気にならなかった。 これまでリチウム電池を2本直列にして使っていたが、充電する際は電池をソケットから取り出して専用の充電器を用いる必要があった。今回のものは充電基板も組み込んだので、USBの電源があればどこでも充電できるようになったのはメリットである。
 MTRでうまく機能したので、気をよくしてポリマーリチウム電池でQCXminiで使用する12V仕様のものも作った。(写真右上)小さく纏められサブバッテリーとして重宝している。

 なお、電池保護のため過放電防止回路を組み込んでいるため電池の電圧が低下してくると突然シャットダウンされてしまうので早めの充電が必要である。
 充電用のモバイルバッテリーにアップコンバーターを接続して12Vで使ってみたが、2段階の昇圧になるためかノイズがひどくなって使いづらかった。

 自己責任の工作ではあるが、市販されている基板をつなぎ合わせることでどうやら使える電源にまとめられた。この小さな電源で伝播コンディション頼りの交信を楽しむのも一興である。