XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

マルチバンドQSO

シンプルだからこそ電信での交信はおもしろい

 クラブが毎週行っているオンエアーミーティングで、今回のキー局は近郊の局が担当されるとのことだった。また、いくつものバンドでオンエアーされるとのアナウンスもあった。私の小さな無線設備でどの程度電波が届いてくれるかチャレンジしてみることにした。

 電波は一般的に周波数が高くなるほど直進性が強くなると言われている。低い周波数では電離層などに反射しながらの伝播が多くなる。従って近距離の通信では高い周波数で直接波での通信が有利になる。遠距離との交信の場合、その時の宇宙の状況に負うところが大きくなり、コンディションに恵まれれば小さな出力でも交信することができる。一方、電波の性質だけでなくオンエアミーティングではたくさんの局がキー局に一斉に呼びかけるので、それらの局と競えるかが課題になる。
 OAM(オンエアミーティング)は朝の6時頃から始まった。3.5MHzでたくさんの局がキー局に呼びかけているのが聞こえてくる。日本中の様々な地域からの電波である。キー局は手際よく交信を捌いている。私のところでも遠隔からの強力な局が聞こえているのでその中から1局ずつピックアップしていくのは凄い技能だと思う。30分ほど呼びかけを繰り返すが私の2Wという弱い電波では強力な電波に隠されてしまうようだ。タイミングを見計らって呼びかけてみるがなかなかつながらない。その内にこの周波数での運用が終わってしまった。
 7MHzでの運用は始まるが、この周波数でもたくさんの局からの呼びかけが聞こえている。電離層の状況が安定しているのだろう。海外局を含め全国からの電波が届いている。呼びかけにも波があるようで少し収まってきた頃合いを見つけて呼びかけをする。何度か繰り返すうちに”Q?”という返信があった。自分のコールサインを2回送る。”XRQ?”という返信。さらにコールを送るとピックアップしてもらえた。
 14MHzはバンドの中は静かだった。伝播状況はあまりよくないようである。電離層反射ではなく直接波での交信になりそうだ。私の2Wで届くだろうか。キー局の出てきそうな周波数を聞いていると、交信が聞こえてきた。弱いながらもどうやら交信することができた。
 21MHzも静かである。待機しているとキー局が聞こえてきた。1番目で交信することができた。この周波数帯はコンディションが良ければ遠距離と繋がるバンドである。この日はまだ開けていなかったようだ。
 28MHzはHF帯では一番上で、さまざまな伝播が楽しめるバンドである。2.5Wで繋がることができた。直接波が飛んでくれたのだろう。
 50MHzではアンテナをダイポールに換え待機した。出力は2.5Wである。VHFに区分されるこのバンドではスポラディックE層という局所的に発生する電離層がないと遠距離の交信は難しい。キー局が近郊の局だったので交信することができた。
 144MHzは普段あまり電信での交信を聞くことが少ないバンドである。50MHzダブレットアンテナを流用したがどうにか交信できた。
 430MHzではコリニアアンテナを使った。ワッチすると交信が聞こえてくる。HFでの喧騒がうそのような静かな交信である。何回か呼びかけをして交信成功である。
 その後も1200MHzでもOAMが行われたようだが、私は設備がなく参加できなかった。結果的には9バンドの内7バンドでのチェックインができた。周波数帯ごとの特性を体験することができた土曜日の午前であった。

長時間のキー局運用お疲れ様でした。感謝。