XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

アンテナで遊ぶ

f:id:shig55:20210820090558j:plain

アンテナ工作でもサイト情報を利用させてもらっている

 送信機で作られた電波はアンテナから空中に放出される。周波数によって波長の長さが決まってくるので、その波長に合った長さのアンテナを使うのが効率としては望ましい。しかし、設置場所の制限や運用形態によっては波長より短いアンテナを使うことがある。整合回路によって給電点のインピーダンスを調え、SWRを最小になるようにして使用する。当然、短縮することによる放射効率の低下は否めないが、そこそこ飛んでくれるのが電波である。
 ダイポールという形式のアンテナが基本だが、さまざまなアンテナが考案され運用されている。私もEFHW(半波長終端給電アンテナ)、バーチカル(垂直1/4波長)、MLA(マイクロ ループ)などを実験してきた。ワイヤーアンテナが主だが、その周波数の波長に合わせるようにコイルを挿入し、給電部のインピーダンスを50Ωになるようトランスフォーマーで整合を取る。エレメントの長さがほんの数センチ異なるだけでも、ローディングコイルの巻き数が1回違うだけでも、巻き方の粗密を変えるだけでもSWRの値は異なってくる。
 試行錯誤を繰り返しながらアンテナとして組み上げていくのだが、そのアンテナで実際に電波がどのくらい飛んでくれるかを確かめたいものである。

 伝播状況は地球の営みと宇宙の状況によって時々刻々と変化している。その状況を知るにはNICT(情報通信研究機構)のサイトを利用させてもらっている。そのサイトの”宇宙天気情報センター”の「観測」というところに”電離層ワーキンググループ”という電離層の状況をリアルタイムで観測しているところがある。稚内国分寺・山川・沖縄の4か所の上空の電離層の発生状況が見られる。電離層の状況を見ながら発信する機会をとらえると広い伝播が期待できるのだ。
 またWSPRnet(The Weak Signal Propagation Reporter Network)というサイトがある。定められたプロトコルによって発信した電波を世界中の協力局が受信して、その結果をネット上にレポートしてくれるものだ。耳では聞き取れないような微かな信号でもPCが解析して局名・発信地・電力などをサイト上に表示してくれる。これを使わせてもらうと、そのアンテナからどこまで飛んでいるのかを世界地図の上で確認することができる。

 ニッパーとメジャーだけで作ったアンテナが動作してくれたときは嬉しくなる。私はQRPと自作アンテナの組み合わせで国内や近隣の外国局との交信を楽しんでいる。アンテナづくりは手軽にできて興味の尽きない分野である。これも、NICTやWSPRnetなどのコンテンツを利用させてもらうことでより楽しめる。ありがたい。
 かつてJH1FCZ 故大久保忠さんがヘンテナという面白いアンテナを紹介された。50MHzバンドでよく利用させてもらった記憶がある。今では優秀な解析ソフトが出来ているようだが、無手勝流でワイヤーをこねくり回し、電波と戯れるのも一興である。