XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

 シングルレバー・パドル

工作が容易なシングルレバー

 エレキーのパドルと言うと今ではほとんどダブルレバーになっている。これはメモリー機能を用いてスクイーズ動作をさせることができるよう短点と長点の接点を同時に閉じるようにするためだ。左右のレバーを一緒に閉じるとメモリーが動作して短点と長点が交互に生成される。どちらの接点が先に閉じたかで短点が先の符号か長点が先の符号かが決まりる。これを利用すると例えば”C”ではツートツートなのでほんの少し先に長点を閉じてから両方のレバーを閉じたままにすることで符号を送出することができる。”Q”を送出するときには長点が送出された後に両方のレバーを閉じることでツーツートツーという符号になる。スクイーズ動作では符号を生成するときの指の動きを省くことができるのだ。
 しかし、うまくこの機能を使わないと思い通りの符号を生成することができないことがある。そのような場合、頂点と短点を単独でしか閉じることができないシングルレバーの方が使いやすいこともある。KZ9VのDaveさんもそのような一人だったようで、公開している動画では爪やすりを使ったシングルレバーパドルをK9VBRのチャンネル #HamradioQAで”Build it: One dollar morse code key”として紹介していた。

 1本のレバーを左右に振ることで、左右に配置した接点に接続する構造は単純で工作が容易である。これなら自分好みのものを作れそうだと思い挑戦してみることにした。
 Daveさんが紹介しているような爪ヤスリを探したが適当なものはみつからなかった。そこで、手持ちのアクリル板を使って作ってみた。バーは2mm厚で幅11mm、長さ10cmである。支点から6cmのところに接点を取り付けた。接点はブラインドリベットでラグ板をかしめてある。接点のもう一方はアクリル板をL字型に成形し、タップを切ってローレット付きのビスを取り付け、接点の間隔を調整できる機構にしてある。緩み防止用のナットと共用ででラグ板を取り付けた。基台には100均ショップで入手したアクリルスタンプ台(小)を使った。アクリル素材なのでレバーや接点の取り付け部は接着している。
 操作は柔らかいがしっかり接点に繋がった感触が指に伝わってきて、なかなか心地よい。普段スクイーズ機能を意識して操作していないのでシングルレバーでも、シングルレバーでも違和感を感じることはなかった。
 うまく動作することが確かめられたので、もっと簡単なものを作ってみることにした。接点をすべてブラインドリベットでラグ板をかしめたものにして、接点間隔などは製作時に調整した。アクリル素材なら熱することで成形が容易である。一度使いやすい状態に調整しておけば、普段設定を変更することはあまり無いからだ。掌に収まるコンパクトなものが出来た。一方の手で握って、他方の手で操作する。両手をふさがれてしまうデメリットはあるが、のんびり交信する際にはストレスにはならないだろう。
 シングルレバーのパドルは工作が容易で、単純な動作なので工作にも運用にもそれなりの良さがあると感じた。また、シングルレバーの機構は配線を変えることで複式電鍵として使える。sideswiperである。レバーを左右に振ることで長点や短点を自在に生成する華麗な電鍵捌きになる。習得は難しそうだが、挑戦するのも楽しそうだ。

 またまた、パドルの数が増えてしまった。部屋の片づけが私の課題だ。