XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

交信出来ることの楽しみ

小さな設備からでも電波は飛んでくれる。

 自分で作った機器で交信できたときの喜びはこの上もない。電波が自然現象の中でさまざまな影響を受けながら届くのは知っている。人の力の及ばないたくさんの要因で、遠くまで届くこともあれば、ほとんど飛んでくれないこともある。どれだけ工面して無線機器を準備しても、自然に力には抗えない。だからこそ、幸運が訪れて、思った以上に電波が飛んでくれたときは嬉しい。
 今回はシンプルなMLAを作った。3mmφのアルミワイヤー、2.1mほどをループにしてギボシ端子を活用しキャパシタと接続したものだ。給電には55cm長の銅線をBNCコネクタに直接接続した小ループを用いた。さらにアクリル板を使った、膝に固定して使うパドルを作り2W出力ほどの無線機を操作した。

                     アルミ線MLAの製作pdf

 毎週土曜日の朝はクラブのオンエアーミーティングがある。7MHzを聞くとキー局がたくさんの局を相手に次々と交信しているのが聞こえてくる。QRPの指定をしてくれたタイミングを見計らって何度も呼びかけるが繋がらない。直径70cmほどのアンテナから波長40mで電波を出すのは難しいようだ。仕方がないので別に設置してあるEFHWのアンテナに切り替えてチェックインすることが出来た。
 10MHzなら届いてくれるかもしれないと、またMLAに切り替えて待機する。いくらか強く入感しているようにも感じる。QRP指定を待って呼びかける。何度かのやりとりがあり交信することが出来た。弱いながらも電波が飛んでくれた。
 その後、移動運用しているなじみの局を見つけて呼びかけた。こちらが常設の機器ではなく仮設の機器からの運用であることを/P(スラッシュ ピー)をコールサインに付加して呼んだ。すると相手局もわかってくれたようで/Pを付けて返してくれた。弱いながらも電波が飛んでくれたのだ。
 OAMのキー局まで約190km、移動運用していた局との距離は約310km。思いのほか小さなアンテナから電波が飛んでくれたと考えると嬉しくなる。ラッキー、幸運ということだろう。膝に巻き付けたベルトで固定したパドルも支障なく働いてくれた。幸運は貧弱な設備だからこそ大きな恵みと感じるのだろう。QRPそして自作というアマチュア無線の楽しみ方で味わえる喜びのように思う。もっともそれを支えてくれた相手局の忍耐と寛容があったからである。相手局に感謝しつつ交信の面白さを味わったひと時であった。