XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

C マッチング? MLA

MLAでもいろいろな給電方法があるが、キャパシターを使って整合を取る。

 ポリバリコンのマッチング回路を付加したMLAを実験した。MLAはエレメントのループ部分とキャパシタで形成するLC同調回路を目的の周波数に同調させ、給電するアンテナである。その給電部の整合にキャパシタを使ったものだ。
 給電方法にはさまざまな方法があるが、よく使われるのが小さなループをエレメントのループに沿わせて給電する方法だ。小ループの大きさでSWRの値が違ってくるが、概ねメインエレメントループの4分の1ほどの径の小ループが使いやすいようである。
 トロイドコアを使った給電ではトロイドコアにリンクコイルを巻き、その穴の中にメインエレメントのループを通す方法である。使うバンドによってSWRが下がるリンクコイルの巻き数が異なるのでマルチバンドで使う場合には工夫が必要である。
 ガンママッチという整合方法もある。給電のCOAXのGND側と芯線側のメインエレメントループへの接続箇所を調整することでSWRを調整する。バンド毎に芯線側の接続箇所を変える必要があるので機構的な工夫が必要である。
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 今回の実験はエレメントループに取り付けた同調用キャパシタンスの両側に給電をする方式である。リグからのCOAXをメインエレメントに接続する芯線側に可変キャパシタンスを入れることで整合の調整をしている。今回はQRPでの実験を前提にしているので、同調と整合2つのキャパシタンスは260pFのポリバリコンを使用した。
 実際に製作したもので整合を取ってみると7MHzから28MHzまでSWRがほぼ1で整合を得ることができた。ただ、本来LC回路で同調回路を形成するキャパシタンスがマッチング用のキャパシタンスと影響しあうようで両方のキャパシタンスを調整する必要があった。また、調整するために近づける手の影響が顕著で、アナライザーを見ながら最良点に調整して手を離すと整合状態が変わっている。特に周波数が高くなるのこの傾向が著しい。7MHzや10MHz、14MHzではいつも整合点が見つかるのだが、18MHz以上のバンドでは時に整合点が見いだせないことがあり不安定である。各バンドで調整によりSWRの値はほぼ1に追い込むことはできたのだが、何らかの影響を受けて実際の整合ではない整合点が表れているのかもしれない。(よく言われる幽霊が出ているのかも。)

 この整合方法の弱点としては、最良点に追い込むために2つのポリバリコンを調整しなければならず、他の整合方法のように受信ノイズが大きくなるように1つのキャパシタを調整すればよいというわけにはいかない。グラフ表示のアナライザーなどを使って2つのポリバリコンを動かし、どちらの方向にポリバリコンを回せばよいかを判断しなければならない。整合点を得るのが難しいのだ。
 実際に7MHzと10MHzで運用してみた。他の給電方法のMLAと性能上の差異は感じなかった。小さなアンテナなので、受信は出来ても送信した電波はあまり飛んでくれない。伝播コンディションとタイミングの恵まれればそこそこの交信ができるアンテナだと思う。
 実験として整合状態を調整できるMLAとしてやってみるのは面白い。今回は3mmΦのアルミワイヤーを使ったエレメントでの実験をしたが、もっと太いエレメントを使った場合には異なる性能になるかも知れない。皆さんの追試を期待している。