XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

モールス符号の習得

エレキーを使って送信練習をすると符号のリズムがつかみやすい。

 アマチュア無線の楽しみ方にはさまざまなことがあるのだが、電信もその一つである。電波の断続を手動で行い、そのまとまりを符号として理解して文字に起こすのも人の力である。自分の技能を高めていく醍醐味が感じられる楽しみ方だ。

 電波の断続による符号はさまざまなものがあるが、モールス符号がよく使われている。符号は短点と長点、スペースの組み合わせで構成される。その組み合わせが何を意味するのかを覚えなければならないのが大きな壁になる。私はもう半世紀以上前、小学生の時モールス符号に出合い、符号を覚えたくて小さなカードの表裏に符号とそれが表わす文字を書いて一枚一枚めくりながら覚えた。そして豆電球を点滅させて電信ごっこをしたものだ。
 符号を覚えるにはいくつかの段階があるだろう。トッ ツーはAということを覚える記憶の段階。Aという文字を見たらトッ ツーと想起する段階。トッ ツーという音を聞いたらAを想起する段階。通信としてモールス符号を使うには私たちが日常会話の中で使っている言葉と同様に耳から入ってくる音の塊が何を意味しているか自然と頭に浮かんでくるようになる必要がある。言語習得と同じようなプロセスで習練するのだ。
 記憶する段階ではモールス符号表を片手に繰り返し覚えていくのが順当であろう。しかし、大人になってくるとさまざまな雑念が出てきてしまい、そのまま覚えるよりも何かに関連づけながら覚える方がやり易いこともある。例えば短点の数、・、・・、・・・、・・・・、・・・・・と並べてE、I、S、H、5というように覚え、長点では1つならT、2つならM、3つならO、5つなら0と覚える。短点と長点の組み合わせで・-ならA、・--ならW、・---ならJ、・----なら1と自分なりに整理をしながら覚える。(これらは「モールス符号の木」「Morse Tree]として公開されている)その他ネットでMorseCodeで検索するとさまざまな覚え方が紹介されている。
 モールス符号を覚えたら次は使ってみる。街の中を歩いていて目に入ってきたものを片端からモールス符号に変換してしまうのだ。もし音響発振器があれば符号を耳で聞きながらやると受信の練習にもなる。
 そして受信練習を始める。聞きやすいはっきり聞こえる符号を受信してその中から文字として認識できるものの数を増やしていく。符号を音の塊りとしてリズムとして聞くようにし文字を想起する。紙に書きとっても良いが書くことに集中するよりも文字を思い浮かべることの方が大事だ。慣れてくると文字の連なりが見えてきて語として認識できるようになる。略号で交信している場合が多いので耳に残り易い。相手局のコールサインなど大事な部分だけをメモに書けるようになれば実際の交信は目前である。
 実際に交信をするのは相手があるので勇気がいる。途中でわからなくなりパニックになったらどうしようと心配になる。オンラインでロボットが相手になってくれるサイトがある。アプリで交信練習ができるものもある。誰に聞かれているかもしれないお空に出るのが不安な場合にはネット上での交信も一つの方法だ。 A1Clubサイト
 電信は自分の技量を高めていくのが喜びになる。モールス符号にチャレンジする方が増えていくことを願っている。                 モールス符号表pdf