XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

音程可変トーン発信器

500Hz~1000Hzの音程を設定可能

 遠い昔、無線従事者の電気通信術試験。部屋の前に置かれたテープレコーダーから流れるモールス符号はブザーのような低い音で部屋の中で反響しとても聞き辛かった。普段の練習ではもっときれいな高い音で聞いていたので戸惑ったものである。そこで、聞き取り練習用に電鍵に繋げるトーン発信器を工夫して低い音の出るものを作った。当時はマイコンなどなく、個別の部品を組み合わせての工作だった。
 打鍵練習をするとき自分の好みの音がある。今では小さなチップの中にプログラムを書き込めば自由に音の高さも変えられる。ATtiny202という小指の先ほどのマイコンを使って作ってみた。発信する周波数は500Hzから1000Hzとし、あまり細かな設定をする必要はないだろうと考え50Hz刻みとした。ボタンを押すごとに500Hzから順番に高くなっていく仕組みだ。1000Hzに達したら500Hzに戻る。この仕組みならボタン一つで操作可能である。トーンの設定をする毎にEEPROMにその音の高さを記憶しておく機能を付けた。常時電源を繋いでおくのなら不要な機能だが、電池交換の時にも設定が保持される。
 自分だけで練習するなら大きな音は不要である。ピエゾ素子をマイコンで直接駆動する。ピエゾ素子は裸のままではとても小さな音しか出ないが共鳴するようなケースに入れることで音が大きくなる。27mmΦのピエゾ素子はボトルキャップの中にぴったりとはめることができる。この中にすべてを組み込むようにすれば小さな発信器ができそうだ。
 内蔵する電池はCR2032を使うことにした。3Vなのでマイコンの駆動にもどうにか使える。しかし容量が小さいのでできるだけの省電力化を図らなくてはならない。動作自体の消費電力はそれほど大きくはないのだが、常時通電していては電力の無駄遣いである。電源スイッチを使いたいところだがボトルキャップに中に収めるには余裕がない。そこでスリープ機能を組み込んだ。ある程度の時間放置するとスリープし、操作が始まったら目覚める仕組みだ。目覚めさせるにはプログラムの中に割り込みが必要になる。このATtiny202というチップは0と3ピンが割り込みに使える。そこで、電鍵入力と音程設定ボタンをこのピンに割り当て、どちらかが操作されたら目覚める仕組みとした。
 しかし、困った問題が出てきた。本当にスリープ機能が働いているのか確かめられないのだ。そのため、動作している状態を表示する機能を付けた。動作している時にはLEDが点灯し、スリープに入ると消灯する。LEDの状態で判断できるのだ。ただし、LEDの消費電力はとてつもなく大きい。この装置が正常に働いているかを知りたいときだけLEDを接続すればいい。ボトルキャップに組み込むときにはLEDは外している。
 打鍵練習で音を出すだけならブザーなどを使えば事足りる。何もこのような装置を作る必要はない。しかし、工作を楽しみ自分好みの音程で練習したい場合にはこの装置も役に立つだろう。アマチュア無線の楽しみ方である。

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