XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

折り畳みMLA

嵩張るMLAも折りたためば・・・

 

 MLAはエレメントが太いほど効率が良いと言われる。ワイヤーよりもパイプを使う方が良いようだ。しかし、パイプや太い同軸ケーブルで作ると嵩張るので持ち運びには困ることがある。なにかコンパクトにまとめる方法はないかと考えて、アルミバーを折りたたむ方式を思いついた。何枚ものアルミバーをつなぎ合わせてループを作るのだ。折りたたみ構造にすればコンパクトに収納できる。しかし、実際に作ってみるといくつかの障害にぶつかった。その一つが接続部分の接触抵抗をいかに減らして導通を確保するかということだった。
 いろいろ試したのだが、タッピングビスで留めることで実用になるMLAを作ることができた。しかし、使うごとにビスを締め増しする必要があること、またつなぎ目で回ってしまいループとして形を保つことが不安定であることなど課題も見えてきた。そこで改善を模索してきたのだが、あるアイディアを思いついた。
 それはリベットを使い、別の留め金具で固定することで導通も、機構的な強度も高めることができそうだということである。アルミバー同士の接続はリベットで固定してしまう。折り畳み構造のため多少の緩みはあるがループを作ることによる弾性で密着させるのだ。ループを作った時にリベットを中心にバーが回ることを防止するためと密着させるために金具を噛ませて固定するようにした。
 今ではブラインドリベットというものが主に使われているようだ。しかし、これには専用の工具が必要である。残念ながらその工具を持っていないので、従来の金床と金槌を使うアルミリベット(3mmφ)を使った。アルミバーはホームセンターで入手した10mm×2mm×995mmという定尺のものを半分に切断し、約50cmものを6本繋ぐこととした。短いほど携帯性は良いのだが、接続箇所を減らしたいので50cmとして6本としたのだ。接続には3cm重ねるようにし、その端の1cmのところをリベット留めにする。逆の2cmの側に回転止めの金具を被せる。その金具はスペーサーとしてホームセンターで売られていたものを加工した。アルミバーの重なる部分に被さるよう成形し、スライドして固定と解除ができる仕組みである。
 アクリル板で作ったベースにポリバリコンを取り付け、アルミバーの両端を接続しループとする。給電は小ループに同軸ケーブルを取り付け、アルミバーのループに近づけるように設置する。配線などをまとめるスパイラルチューブを利用すると容易に取り付けられた。(トロイドコアを用いた給電も可能だが、周波数によってリンクコイルの巻き数を変える必要がある。写真のベースにはこの回路も組み、BNCコネクタがついている)
 このベースを三脚に取り付けられるよう細工して、MLAが自立するようにしてある。写真を撮るためにこのMLAを設置した時、たまたま10MHzで7エリアの移動局が聞こえてきたのでコールした。すると599-599で交信できた。地上高30cm程であった。
 アナライザーで測定すると7MHzから28MHzまでどうやら使える整合があることが確かめられた。マルチバンドでの運用が楽しめる。折り畳み式なので持ち運びにも便利である。手軽な移動運用に使っていきたいと思う。
                                                  アルミバーMLA製作記事