ネットを彷徨っている時、伸縮ホイップアンテナを使ったデルタループアンテナというものを知った。1波長のループを作るとダイポールと比較しても放射効率の高い(ゲインのある)アンテナになるそうだ。この市販されているアンテナは給電点にコイル状の部分があり、6mから80mバンドまで使えるのだという。使用する周波数に見合った長さのエレメントではないのに、どのような仕組みなのか検索してみたが解らなかった。1波長ループを基本としているようだが、伸縮ホイップとその先端を結んだ逆三角形のループで波を乗せている。面白いアンテナである。
この一波長ループのアンテナを真似ることは出来ないが、伸縮ホイップを使うというアイディアで、MLAを作ってみることにした。給電点とキャパシタ部を収納し、同時に伸縮ホイップの支持とするようケースを加工した。昔のテレビアンテナのような形状で、ループとは言っても円のように丸くはないが整合点を見出すことができた。MLAとして機能しそうである。
このアンテナを持ち出して運用してみた。トランシーバーにつなぎポリバリコンを回すと急に雑音が大きくなるところが見つかる。そこが整合したところと目星をつけた。後日アナライザで確認すると、雑音の大きさで目星をつけたところがほぼ整合点であることを確認している。
このアンテナの効率はあまり良くない。QRPであることもその理由ではあるが、呼びかけをしても相手にしてもらえないことが多い。強力な電波を出す局にどんどん追い抜かれていく。電波が出ていないわけではなく弱いのだ。相手が見つかるか否かは伝播コンディションに大きく影響されるのは致し方ない。
このアンテナの利点は、設営が楽なことだ。ケースの底の部分に、ナットを取り付けている。ここに写真撮影などで使われる三脚を取り付けられるので、自立できるのだ。伸縮ホイップを伸ばし、両端がクリップになっているエレメントを取り付ける。これで設営完了。リグを接続し、受信ノイズが最大になるところにキャパシタを調整すれば運用を始められる。
伸縮ホイップは長さが120cmの小さなアンテナだが、40m、30m、20mバンドで整合が得られている。伸縮ホイップなので縮めればより高い周波数でも整合が得られる。上側のワイヤーの3分の2の途中にクリップをとりつけ、ループを小さくして使用する。実際の運用でもQRP機に接続して近隣の海外や国内との交信が出来ている。簡単に作れるテレビアンテナもどきのコンパクトMLAをサブアンテナにするのは如何だろう。