XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

フードレスキュー

旬の時期は短いが、熟れた柿も干し柿もおいしい。

 フードロスをなくそうという呼びかけが行われている。私たちの食べ物はどれも生き物であり、その命をいただいている。無駄に廃棄するのではなくしっかりとその命をいただくことが大事だと思う。廃棄とは言っても家畜の飼料として利用されたり、作物の肥料として活用されたりしているようだが、食物として生産されたものは人が食することが本筋であろう。
 スーパーなどでは賞味期限が迫った食品が値引きされ売られている。目立つようにだろうか黄色のラベルが貼られていることが多い。何円引きとか何パーセントオフなどと大きく書かれている。それをカゴに取ることにはほんのちょっとした惑いがある。「値引き品を買っている」「生活に困っているのだろうか」などと周囲の人から見られるのではないかという不安、また、賞味期限が短いと自分で使い切れるかという心配もある。敢えて値引き品に手を出さなくても正規の値段のものとの価格差は小さいと黄色いラベルは避けてしまうのだ。
 しかし、人間の側からでなく、食物の側から考えてみるとその惑いを少なくすることができるのではないか。賞味期限が短ければすぐ消費してくれれば食物としての役割をしっかり果たすことができる。廃棄という、本来の目的とは異なる道へ進むことから救出されるのだ。食物として生まれてきたからには人間に食べてもらい、活用されるのが本望であろう。黄色いラベルはそのためのSOSと捉えることができる。安いからと言う理由では何となく戸惑いを感じる場面でも「この食品を助けるのだ」という意味づけならばその躊躇は薄れる。
 「ものは考えよう」とよく言われる。黄色いラベルのものを目にしてフードレスキューの気持ちで接することで心の戸惑いを減らすことができるように思う。
 商店の食品の棚にはたくさんの品が並んでいる。賞味期限はさまざまで手前ほど賞味期限が短いことが多い。「手前取りをお願いします」という掲示がなされているのを見かけるが、これもフードレスキューという視点で考えれば納得のいくことである。自分がその食品をどのように使おうとしているのかという状況に合わせて、手前から手に取ったり、賞味期限の長いものを手に取ったり選択すればよい。
 気候変動など大きな環境の流れの中で、食物という生きていくことに不可欠な要素が大きく関わっていることが明らかになってきている。小さなところから改善していくことで環境への負担が減らせていくのではないだろうか。スーパーに行ったとき、黄色いラベルを見かけたらその時の状況によってはその救助要請に応えるようにしようと思う。