
電波はさまざまな経路で伝播するので思わぬトラブルが起こることがある。アマチュア無線で電波を出すと家のチャイムが鳴ったり、インターフォンから音が出たり、アナログテレビの頃には画面に縞模様が出たり、自動ドアが開閉したりすることがあったという。そのような現象をインターフェアというのだが、最近では多くの製品が外部からの影響を受けないように対策がなされているのでこのような現象が起こることが少なくなっている。
また、基板を製作をする場合にも信号が迷走し思い通りに動作してくれないことがある。電気信号の伝送は目に見えず、思いもよらない動作をするのだ。
私の場合、数ワットの小電力(QRP)での運用なので、これまで外部への影響はほとんど無かったのだが、先日あるトラブルに遭遇してしまった。
庭先でキットを組み立てたトランシーバーで運用をしようとした時のことである。自作のバーチィカルアンテナをいつもとは異なるカウンターポイズを繋げて設営した。多少短めのカウンターポイズだった。トランシーバーとアンテナを接続し、聞こえてきた移動局に呼びかけたときにそれは起こった。サイドトーンが断続音になってしまって符号として聞こえてこないのだ。いつもの調子で自分のコールサインを送ってしまったので、電波はしっかり出ていたようで相手局からコールバックがきてしまった。サイドトーンが無くてはまともに応答することができそうにない。電鍵ならサイドトーンなしでも符号を送り出すことができるがエレキーでは符号を聞きながらでないとそれはとても難しい。呼ばれてしまっているので応答しなければと断続音を聞きながら勘で返信する。どうにか交信を終えることは出来たのだが、ヒヤヒヤものの交信であった。
トランシーバーのサイドトーン回路が壊れてしまったのだと考え、すぐに修理にかかった。ダミーロードを付けて動作の確認をするとキーイングで正常にサイドトーンが聞こえてきた。トランシーバのトラブルではないようである。次に考えらたのはアンテナとの整合に問題がありインターフェアを受けていたのではないか、アンテナ関連のトラブルを疑った。
試しに自作のMLAを接続して動作させてみる。ノイズが最大になるようMLAのキャパシタを調整して整合を取るとこのトラブルは発生しなかった。バーチカルアンテナでは短めのカウンターポイズが原因でリバースの電流が流れ込んでいたのかもしれない。
このような場合、アンテナからの影響を避けるコモンフィルターというものがあるという。同位相の乗った同軸ケーブルをコアに巻き付け相互誘導作用からノイズを減らすもののようである。手持ちの部品を活用しフィルターを作って挿入してみた。同軸ケーブルを輪のように束ね、それをパッチンコアで挟んだ至ってシンプルなものだ。
不具合の起きていたバーチカルアンテナにフィルターを挿入したら効果はてきめんでインターフェアは消えて、サイドトーンが綺麗に出ていた。そのアンテナに所定のカウンターポイズを取り付け、整合を取った状態で動作させてみるとインターフェアは起こらないことも確認した。やはり整合が大事なのだ。
今回のトラブルはコモンフィルターについて学ぶことができたという点で良い経験だったと思うことにする。(笑)