移動運用が目的ではなかった。もし時間があったらGoBagを使ってみるつもりだった。自宅からほぼ1時間のところにある墓参りをすることになった。高速道で近くまで行き、しばらく一般道を走る。霊園は段丘の斜面に作られていて、坂道を上ったところに車を止めた。
コロナ禍でなかなか来ることができなかったので、掃除から始めた。敷石の間の草取りをし、墓石を濡れタオルでごしごしとこすりさっぱりとさせる。花と線香を手向けて一安心である。ちょうど昼になっていたので霊園の中の休憩所になっている東屋で昼食をとることにした。家から持参したサンドイッチだ。
私は早々にべ終えたが、同行の者はまだ食事中である。この機会を利用して運用してみる。GoBagを広げ、アンテナの設営。アルミ線を輪の形にしてキャパシタユニットと接続。東屋の藤棚からパラコードを垂らしてアンテナを吊す。トランシーバーに電源、イヤフォーン、パドル、アンテナからの同軸ケーブルを接続して設営完了。
バンドの中を覗くと移動局がCQを出しているのが見つかった。呼びかけると応答があった。レポート交換をして交信成立。 給電ユニットに取り付けた出力表示のLEDもしっかり点灯していた。アルミ線をだいたいの輪にしただけだがMLAとして整合していたようだ。相手局は愛知県あま市の公園に移動しているとのこと。互いにRSTは599のレポートであった。この霊園のJCC番号を調べてこなかったので平文で市の名称を送ることになってしまった。それでも30秒に満たない交信であった。メモ帳に交信データを記載する。
そうこうしているうちに、同行の者が食べ終わり、片づけを始めている。撤収である。機器相互の接続を外し、アルミ線をまとめ、それぞれバッグに収納する。撤収終了。
その後はゆっくりお茶を飲んで吹き抜ける爽やかな風を楽しんだ。
移動運用が目的で出かけたのならその事に集中して過ごすことも出来るが、他の目的で出かけた場合はゆっくり運用というわけにはいかない。GoBagの使い勝手の検証ということで今回は1交信のみの運用であった。まずまずの結果だったと満足している。7MHzの波長40mの電波が直径70cm程のアルミ線の輪から愛知県まで飛んでくれたのだ。リグはQCXminiで出力は2W程度だった。こんなシンプルな設備でも手軽に交信が楽しめることを体験した。いかにコンパクトに設備をまとめるかというGoBagの取り組みも楽しいものだ。なお、このGoBagの中身は「達成感」で使ったものと同じ設備である。