XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

/P

小さな無線設備でどこまで届くのか、実験

 アマチュア無線コールサインに続けて移動地などを示すために符号を付加することがある。例えばJA1〇〇/1のように、関東総合電機通信局管区の移動局であることを示す場合である。海外ではアメリカ本土の局がW1〇〇/KH6のようにプリフィックスを付加して、ハワイに移動して運用していることを示すために使われている。
 海外ではその国内で移動運用する場合には/Pという符号を使うことが多いようだ。PはPortableの略で移動運用局を示す。しかし、日本では国内局同士での交信では先の例にように数字を付加して移動運用局であることを示すことが多い。”/P”というのはあまり使われていないようである。私はこの”/P”を使うことがあるのだが、次のような意味合いで使っている。
 普段の運用は敷地内に伸展したEFHWのアンテナやロングワイヤーのアンテナを使い、商業電気から取った電源で交信している。しかし、コンパクトな設備を使ってどの程度運用ができるかを実験したいとき、この”/P”を使うのだ。例えば、部屋の中でパソコンの机の脇にアンテナを立てかけ、リチウム電池を電源に運用する。またある時には庭先にテーブルを持ち出し運用する。機材をポシェットに収めて郊外に出かけ、自然の中で運用することもある。こうした仮設の設備での運用であることを示す”/P”である。
 最近嵌っている実験はMLAという小さなループ状のアンテナから2~3ワットの出力でどの程度交信できるかを試すことだ。数十mもの波長を直径1mにも満たないループに乗せるので効率は良くない。相手局が強力な電波を送ってくるときには受信は出来るのだが、こちらから相手の局に届くような信号を送ることは容易いことではない。届いたとしても当然微かにしか聞こえないであろう。こちらが通常の設備ではない運用をしていることを判ってくれて相手をしてほしいという気持ちからの”/P”なのだ。自分勝手な願いではあるのだが、アマチュア無線の面白さの一つとしてお付き合いいただければという思いである。

 アマチュア無線は偶然性を楽しむものでもあると考える。電波を通じて見知らぬ人と繋がり交信ができる。宇宙のさまざまな条件が絡み合う伝播状況によって思いもよらない遠距離まで電波が到達する。たまたまその時間にその周波数を聞いていた局と交信ができる。電離層などの時々刻々の変化の中でたまたま強く聞こえてきた時に受信をしていた。などなど再現性が低い、偶然につながったということを楽しむのである。

 ”//P”の使い方としては法的な解釈などを含めてご指導いただかなければならないこともあるかもしれないが、アマチュア無線の楽しみ方としてこのような実験も大事にしたいと思う。
 ログブックに1局も記載できない日もよくある。日によっては数局と交信できてにんまりすることもある。これからもハムライフで不確実性を楽しんでいきたいと思う。

                  アルミ線MLAの製作pdf