XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

クイック設営、クイック撤収

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手軽に設営するためのアンテナ

 移動運用の場合、現地の状況にもよるが、広い場所を取ることが難しく周りに遠慮しながら設営しなければならないことがある。また、人の流れによっては短時間での設営撤収が必要な場合もある。
 設営で特に時間のかかるのがアンテナ設営だ。アンテナの転倒やコード類の取り回しで迷惑をかけるわけにはいかない。できるだけその場の状況に影響を与えないよう配慮する。しかし、大がかりな設営になってしまうと、撤収にはそれだけ多くに時間がかかり、気楽な移動運用とはならなくなる。 
 車での移動の場合にはモービルホイップアンテナを設置しておけば、現地の駐車場などに到着次第、何等の作業もなく運用が始められる。高速道のSAやPAから短時間運用をされている局も多い。しかし、徒歩主体の移動の場合、出来るだけ荷物を少なくし、コンパクト軽量、さらにすぐに設営・撤収のできることが望ましい。
 MLA等のコンパクトなアンテナはこの運用に向いているが、効率という面では難がある。ロケーションが良く、伝播状況に恵まれ、そこそこのパワーを使う場合に向いている。QRPでの運用ではある程度効率の良いアンテナが欲しい。とは言ってもフルサイズのアンテナを伸展するとすれば大がかりな作業になってしまう。すぐに設営でき、撤収も容易なアンテナを考えてみた。

 場所を取らないアンテナとしてはバーティカルが最適である。現地の杭などを活用してポールを伸ばし設営すればすぐ立てることができる。エレメントはモノバンド仕様として予めカウンターポイズとともに調整を取っておく。設営状況によってSWRなどは変化するが、カウンターポイズの張り方で改善できることもある。
 今回は7MHz用のバーティカルアンテナを製作した。5mのグラスファイバー振り出し式釣り竿(仕舞長65cm)を使い、エレメント、カウンターポイズとも5mのワイヤーである。この長さでは同調を得ることはできないので、ローディングコイルを使う。まず、ワイヤーを釣り竿の先に簡単に取り付けるため10mmφ程のプラスチィックパイプを使う。ただ被せるだけでは勿体ないのでトップローディングとしてコイルを巻いた。給電部はBNCコネクタを直付けし、GNDにカウンターポイズを接続する。しかしトップローディングだけでは整合が取れないため、ベースローディングとしてT68#2のトロイドコアを用いてコイルを巻いた。カット&トライで巻き数を調整し、7MHzでほぼSWR1となるよう追い込んだ。

 このアンテナなら、ワイヤーの先端を釣り竿の2段目(1段目は柔らかすぎて不適)に被せ伸展し、カウンターポイズを調整することで運用を始められる。釣り竿を固定するために伸縮性のベルクロ付きテープを持ち歩いている。高さもあまりないのでこんな簡単な支持でもとりあえず設営できる。
 アンテナの大きさと効率は比例するようで大きいに越したことはないが、取り扱いの簡便さとの折り合いからの選択である。早く他県への移動運用ができるようにコロナ禍の収束を祈るばかりである。