XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

QRP 寸感

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QRPでの交信はコンディション頼み?

 高知県の局と交信していた時のことである。7MHz、CWでのQSO。互いにRSTを交換した。599を送り、同じく599をいただいた。ただし、こちらからの信号にはQSBがあるとのこと。その後、リグの紹介をし、こちらは3WのQRPであることを伝えた。相手の局もQRPに関心をお持ちのようで、現在は100Wで運用しているが、電力を落とすから待機するようにとの通信が入る。しばらく待機していると微かにこちらを呼ぶような音が聞こえてきた。RSTにすると219から319の微かな信号で、相手局だと判断がつかない、信号が来ているのはわかるが内容までは判別できない信号だった。応答するのをためらっていると、相手局が元の100Wに戻してこちらを呼んできた。状況を説明すると「QRPは難しいですね」という話になった。
 QRPというと小電力、出力のことを考えてしまうのだが、受信能力はどうなのだろうと考えた。受信機の感度とアンテナの効率から受信能力は決まってくる。送受信に同じアンテナを使っているのだし、受信機の感度はどのリグでもそれほど変わらないだろうと考えていた。しかし、今回、相手局が出力を絞った時、受信ができず交信に至らなかったことを考えると受信性能について考えざるを得ない。
 「それでも電波は飛んでいく」と気軽に考え、主にQRPのコンパクトなリグと5m程の高さに伸展したワイヤーアンテナで運用してきた。この設備ではCQを出しても応答してくれることは少ないので、専らこちらから聞こえている局に呼びかけるという運用をすることが多い。呼びかけても気づいてもらえず、QRPだから仕方がないと諦めることもある。それでも粘り強く呼びかけて交信できることを楽しんでいる。聞こえる局を相手にしているのだからこちらの受信性能については意識していなかったのだ。
 つまり、強力な電波を送ってくる局を相手にしていたということもあり得るわけである。そう言えば、多くの局が呼びかけをしている場面に出合ってもその呼びかけられている局が聞こえていないということがあった。それぞれの局で伝播の状況が異なるからだろうと思っていたのだが、受信性能の低さが原因だったのかもしれない。
 
 受信性能を上げるように努めるのが必要なのだが、その対応は容易ではない。アンテナの効率を上げるべく、移動運用をしてロケーションの良いところを探したり、アンテナとの整合をしっかりとったりすることが現状での対応となる。QRP同士での交信はコンディションなどの条件に頼るしかないのだろうかと考えてしまう。
 それでも、アマチュア無線では確実性や再現性よりも偶然性を楽しむ面がある。十分な設備ではなくても、さまざまな条件が味方してくれ、思わぬ交信ができるのを楽しむ。私的学究を旨とするアマチュア業務を大自然の営みの中で楽しませてもらっている。