XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

リードスイッチ

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リードスイッチを使って

 前回100均のLEDライトに細工をして地震などの揺れによって点灯するライトを紹介した。このセンサーに使われているのがリードスイッチである。磁気近接スイッチなどと呼ばれることもある。
 磁性を持ったニッケル合金のリードを向かい合わせに、先端部が少しオーバーラップするように配置されていて、ガラス管の中に不活性の気体とともに封入したものである。2枚のリードはほんのわずかな間隙を持つようになっており、通常は導通はないが、磁場の中に入ると、リードが互いに引き付け合い、導通するようになる。磁場がなくなるとリードの弾性でまた間隙が生まれ導通が切れる。磁場を与えるのは永久磁石でも電磁石でもよい。
 このデバイスは1940年代にベル研究所で開発されたようで、単純な構造で安価で耐久性にも優れているのでさまざまな機器に使われている。機器に組み込まれているのであまり目立たないデバイスである。しかし、身近なところではタブレットでフラップを綴じるとスリープになる機構のセンサーとして使われているなど普段の生活にとても役立っている。
 前掲の100均センサーライト改造はマグネットが離れると点灯する仕組みで、所謂NC(ノーマルクローズ)の動作であった。リードスイッチにはこのNCとNO(ノーマルオープン)のものがある。通常手に入りやすいのは上記の基本原理のようなNOのものが多いようだ。
 NO動作でも使い方によって揺れを検知して動作させることができる。マグネットをひもなどで吊るし、揺れによってマグネットを落下させリードスイッチに近づくように配置すればよい。支点を定めて紐で吊るすことで、落下したマグネットが所定の位置に収束するように配置するのだ。試しに作ったのが写真の卵型のLEDライトである。マグネットをケースの上に載せておき、揺れを与えるとマグネットが落下する。紐に吊るされているのでリードスイッチの近くに収束することでライトが点灯する。
 リードスイッチは小さなリードで構成されているので大きな電流を扱うことはできない。LEDやブザーのような小電流での使用が前提である。我が家ではこのリードスイッチをチャイムの回路に使っている。一度スイッチが入るとチャイムが鳴る回路にこのリードスイッチを付け引き戸の枠に取り付けてある。引き戸にマグネットを取り付け、戸が開かれるとリードスイッチが入り音が鳴る仕組みである。
 磁石が近づくとスイッチが入るというこのデバイスはいろいろとアイディア次第で楽しめる。YouTubeの動画を見るとモーターの製作例がたくさんあった。次はどんなものに組み込んでみようかと思案中である。