XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

波及事故

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判断ミスからトラブルの拡大

 事故と言っても商業電源に影響するような大きなものではない。ほんの小さなミスから基板を反故にしてしまった顛末である。
 コンパクトなトランシーバーキットを組み立てていた。この機種は3台目の組み立てである。前回は多少のトラブルがあったが、どうにか組み上げることができていた。今回のものは第2ロッドになり基板のレイアウトなどが少し変更になっていた。しかし製作マニュアルを書き換えるほどの変更ではないようだった。3枚ある基板に部品を取り付け、それぞれを組み合わせようとした時、ピンとヘッダが合わないところが出た。ピン同士になってしまうのだ。思い返すと、マニュアルに記載されていたピンとヘッダを読み間違え、また、キットの場合よくあるロストパーツと判断して手持ちのピンを取り付けてしまったのだ。
 ここからが間違いの連なりである。ピンの相方であるヘッダをその基板に取り付ければ良かったのだが、マニュアル通りにやろうとしてピンの取り外しを始めた。簡単にはずせると思ったのだが、両面基板を使っており髪の毛ほどのラインが走っている。ピンを取り外した時には基板のラインが破損していた。こて先の数分の一の細さのラインに手持ちの中から一番細いワイヤーをハンダ付けし修理した。そしてヘッダに取り替えたのである。
 基板を組み合わせ動作確認をした。スモークテストは大丈夫のようだ。しかし、コントロール部を操作するが機能していない。やはり配線がうまくいっていないようだ。操作を続けているうちに、「バシッ」という音と共にLCD表示が消えた。細い線で修理をしたラインの繋がったスイッチを押した時である。さて、どこが焼損してしまったのか探さなくてはならない。一番大事なCPUは大丈夫だろうか。前回組み立て動作している機器にこのCPUを移植して確かめる。動作しない。CPUが破損したようだ。それならと、逆に動作が確認できているCPUを事故を起こした基板に取り付けて動作確認をした。動作せず。さらに他のデバイスも破損している可能性があるようだ。SMD(表面実装デバイス)を多用している基板なので修理はあきらめるしかなさそうだ。
 さらにCPUを移植して動作確認した機器を元に戻してみるとこちらも動作しなくなっていた。事故機に取り付けたことでCPUが破損してしまったようだ。さらにLCDが異常動作するようになっていた。

 ピンとヘッダの取り違えというミスを起点として、その対応への判断を誤ったことから被害が大きくなってしまった。基板1枚を交換しなければならなくなった。動作検証に使った機器の被害はCPUだけで済んだようだがCPUを新たに入手しなくてはならない。
 キットの頒布元に問い合わせるとスペアパーツとして基板部分のみを譲っていただけるとのことで、早速手配する。判断ミスからの波及事故の影響が拡大してしまった。じっくりと状況把握に時間をかけ、リスクの見積もりをしながら対応することの大事さを身に沁みて感じた。
 
 コロナ禍の収まらない現在も、さまざまな現場で慎重な判断を求められ対応してくださっている方々のおかげで日常の生活が保たれている。有り難いことである。