XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

MTR5B トラブルシューティング

 

f:id:shig55:20181101090227j:plain

 それは次のような症状から始まった。
 いつものように17mバンドに出ようとスイッチを入れると、20mバンドの表示になっている。スイッチの設定を確認すると18MHzの位置になっている。スイッチの接触不良が起きてしまったのかと、ポジションを変えてみるが表示の変化はない。本来、このスイッチを変えることで他のバンドに設定し直すことができるのだが、全く動作しない。受信のノイズは聞こえているし、液晶のバックライトも点灯している。
 ケースを開けて基板の点検をする。特に異常は見られない。スイッチを何度も動かしてみるが変化がない。その内に、液晶の表示が消えた。聞こえていたノイズも聞こえなくなった。バックライトは点灯しているので電源は供給されているようだ。
 故障してしまったと覚悟し、どのようにメーカーに連絡しようか考える。何しろ、USAからの個人輸入である。修理保証などと言う契約はしていない。とりあえず、休憩。
 風呂に入っている時、ふと閃いた。MTR5Bは時計機能があるのでバックアップ電池が入っていたはずだ。故障の症状が時間経過と共に重篤になってきたのはコンデンサや電源関係が考えられる。このバックアップ電池が消耗しているのではないか。
翌日、適合する電池を探し出し、交換した。みごとに、復活したのだ。この電池が消耗し、メモリーのバックアップができないため、マイコンがデータを読み込むことができず、さまざまな症状が出ていたようである。

 機器の故障というと、どうしてもデバイスの破損や回線の不具合を考えがちである。マイコンがなかった時代はすべてそれが原因だった。しかし、今ではほとんどの機器にマイコンが入っているので故障に対してもソフトウェアの不具合を考慮に入れなくてはならないのだ。
 最近報道されたいくつもの事故。地震の後の大規模停電。鉄道の運行が停止する事故。ATMが使えなくなる事故。どれもソフトウェアの不都合が原因となっている。規模こそ違え、今回の故障もマイコンが正常に機能しないことから起こるものだった。時代は変わっている。トラブルシュートも視点を変えて行かなくてはならないという教訓である。