XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

新しいデバイスで楽しむ

これだけでLEDを点灯できる

梅の名所として知られる水戸の偕楽園に今日から臨時の駅が設けられたそうだ。休日を中心に一日30本の列車が停車するとのこと。水戸の駅から偕楽園まではバスを利用することが多いのだが、臨時の駅から訪れられるようになれば便利である。まだ梅の花はつぼみが堅いようだが、もう少しで咲き出しそうである。春が近づいてきている。
一方で、花粉の飛散も増えてきているようだ。春が来るのはうれしいがめがねにマスクで重装備し、ティッシュが手放せなくなるのはうっとうしい。痛し痒しである。

技術の進歩には驚かされる。LEDの点灯について新しいデバイスが手に入った。
通常、LEDを点灯させるためには所定の電圧で、電流をを制限しなければならない。たとえば白色LEDなら3.0V〜3.6Vの電圧をかけ、数mA〜数10mAの電流になるよう定電流ダイオードや抵抗で調整して点灯させる。乾電池の電圧は1.5Vなので電池1本では点灯させることはできない。
今回手に入れたデバイスは乾電池1本もしくは1.2Vの充電池1本でもLEDを点灯させることができるものだ。それだけでない。電流を制限する抵抗なども不要なのだという。
仕様書を見ると回路例では外付けの部品はインダクター1本のみである。小さなコイルと小さなトランジスタのような部品だけで回路ができてしまうという。どのような仕組みなのか解析できていないのだが、想像するにインダクタを使っていることから電磁誘導による起電力を利用しているようだ。高速で電流を断続し、それによりLEDが点灯するほどに昇圧をしているのだろう。そしてそれがパルス状であるために電流制限しなくてもLEDは熱破壊されないで点灯しているものと思われる。
これまでならいくつもの部品を使って発振回路を組み昇圧コンバータを構成していたのだが、3本足の一見すると小信号トランジスタのような小さなパッケージの中にその仕組みをまとめてしまったようだ。
ブレッドボードで実験をすると、仕様書通りに動作を確認できた。LEDを5本並列にしてやってみたのだが、結構な明るさで点灯した。これならば、乾電池1本でも十分な明るさを得ることができそうである。実用でも使える形にまとめてみることにした。
製作例はこちらで紹介している。(XRQ技研ホームページ)乾電池が2本入るスイッチ付きの電池ケースを改造し、電池1本分のスペースにLEDとこのデバイスを使った回路を組み込むことにした。LEDの数は5本である。LEDはすべて並列であるのでケースに組み込んでアノード同士、カソード同士をそれぞれ接続した。デバイスとインダクタを小さな基板上に配線し、LEDを取り付けたスペースに押し込んだ。部品数が少なく回路も単純なので作業は簡単である。30分ほどで工作はできあがり、電池を入れて動作させる。結構明るい。点灯させたまま一昼夜以上放置しておいたが明るさはあまり変わらなかった。停電時などに十分活用できそうである。
仕組み自体はすでに知られている方法だと思うが、このデバイスのように使いやすくまとめてしまうということも技術の進歩だと思う。人間の工夫する力はすごいものだと思う。乾電池1本で動作する懐中電灯などはたくさん市販されているのだが、このデバイスのように自分で組み立てるのも楽しいものである。