XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

安心灯

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「安心灯」マグネットセンサーのライトを工夫した

 大きな揺れが長く続いた地震だった。二階で椅子に座っていたのだが、微かな揺れを感じ、「地震かな」と訝っているうちに揺れが大きくなり、家族に声をかけて部屋の真ん中にうずくまった。棚から小物がパラパラと落ちてくる。テレビを点けるがまだ速報は出ていない。タブレットスマホからは警報音が流れてくる。なかなか揺れが収まらない。不安になり声を掛け合っているうちにやっと揺れが収まる。10年前のあの地震を思い出す。
 その後情報が次々と入ってくる。最大震度6強のところもあるという。震源地を見るとあの地震と同じようなところだ。津波の惨状が頭をよぎるが、今回は津波のおそれもないようで少し安堵する。しかし強い揺れである、被害の状況が心配になる。
 
 テレビを見ていると停電が起きているという。信号機が消え、街灯が消え、家々の電灯も消えて街が暗くなっている映像が映し出される。地震によって停電がどのように起きたかは知る由もないが、明かりがないだけで恐怖と不安はいかばかりかと心配になる。私の地区では停電は起きなかったのだが、棚の上の「安心灯」が点灯していた。
 この「安心灯」はあの震災の後作ったものである。夜間に発災し停電になった場合、真っ暗な状況は心理的に恐怖が増大する。少しでも明かりがあれば気持ちを落ち着かせるのではないかと作った。100均の店で手に入れた、マグネットで点灯するランプに少し手を加えたものである。この商品の本来の使い方はクローゼットの内側などに取り付け、扉を開けると点灯するというものである。本体とマグネットが離れると、本体内部のセンサーが感知し、点灯する仕組みだ。マグネットが離れたら点灯するということに注目し、本体の上にマグネットを置き、地震で揺れたらマグネットが落ちるように工夫した。マグネットの重心を高くするよう人形を張り付けたのだ。こんな簡単なもので、明るさも僅かだが、暗闇になることは避けられると考えた。想定通りの動作をしたようだ。

 翌朝になり、各地の情報が報道されてきた。常磐道の法面が崩壊し通行止めになっているという。新幹線の架線が損傷を受け運航停止になっているという。それでも、マグニチュード7.3、最大震度6強という大地震であったのに被害を抑えることができたようだ。人々がさまざまな面で災害への備えを進めてきたことが役に立っていると考えたい。
 コロナ禍という災害の真っただ中だが、他の災害の発生もあり得る。想像力を働かせてできる限りの備えをしていきたい。

                                         このライトについては2012年にもブログに取り上げていた。