XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

お盆

ろうそくLED

 お盆というと多くの地域では8月に行うところが多いようだ。私の地域では7月に行っている。盂蘭盆会という仏教用語で言われることが多いが、祖霊を迎えるという習俗と仏教が結びついたという説もある。近隣の国でも同様な行事が行われているので、祖先に対する同じ思いで古来から行われてきた行事のようである。
 祖霊を迎えるために迎え火をたくところもあるが、私のところではお墓まで迎えに行く。そして家にはいる時には、「長旅、お疲れ様でした」という意味も含めて、ひしゃくから水を流して足や手を洗う仕草をする。そして普段の仏壇とは異なった、盆棚に入ってくつろいでもらう。祖霊が家に居る間は朝昼晩のお膳が供され、親戚の人々があいさつに来る。そしてお盆が終わる日、送り火を灯して祖霊をお墓まで送るのである。
 祖霊を大切にする行事で、いつまでも残したいものである。しかし、時代とともにやり方は変化してきている。送り迎えに使われる提灯の中には蝋燭が灯されていたのだが、最近ではほとんどLEDである。風に翻弄されて蝋燭の火が消えてしまわないよう気をつけたり、蝋燭が燃え尽きないように予備の蝋燭を準備し気をつけたり、また、車で迎えに行く時には裸火を車内に入れるのでことのほか気を遣ったものである。LEDならそれらの心配がなくなるのだが、そのままでは冷たい明かりに感じられてしまう。
 そこで一工夫。LEDの色を白ではなく蝋燭に近い色にする。電球色というLEDがある。5mmφの砲弾型を使ってみたが複数でないと明るさが不足する。だが複数のLEDを灯すと、提灯の外からもいくつもの光源として見えてしまう。広拡散の高輝度LEDを使うことにする。「ゆらぎ」も大事である。蝋燭の炎がゆらゆらと揺れ、光と影が動くところに自然の息づかいが感じられる。明るく点灯するだけでは物足りないのだ。
 秋月電子通商で「キャンドルIC」というものを見つけた。電流を制御してLEDにゆらぎをさせることができるものだ。ICだけではLEDへの電流が足りないようなのでデジタルトランジスタを入れて対応する。電球色LEDは1Wのものを使う。念のため放熱板を取り付ける。単3電池2本を納めるスイッチ付きケースで動作させる。
 簡単な工作なのだが、蝋燭の明るさとゆらぎを再現することができた。スイッチ一つで点灯できるうえ、火を使わないので安全に持ち運ぶことができ、風で吹き消されることもない。
 時代とともにやり方は変化していくと思う。工夫を加えながら、祖先から受け継がれてきた気持ちを大切にし続けていきたいものである。