XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

LED

reflector付きLED

 青色LEDの開発という功績に対して日本の3人の科学者がノーベル賞を受賞した。それまでもLEDはあったのだが、青色ができたことで白色を出せるようになり、さまざまな場面での活用が進んだ。
 秋葉原の部品屋通いをしてきた私にとって、LEDの変遷には感慨深いものがある。LEDは初めの頃には豆電球の代わりであり、それまで豆球やネオンランプによって電源が入っていることを表示していたのが、赤や緑のLEDで表示できるようになった。LEDはフィラメントが切れる心配がなく、低い電圧でも点灯させることができたので、ほとんどの豆球に代わって使われるようになった。
 店先にはいろいろなLEDが出てきたが、○や△、□などの形をしたもの、また砲弾型にカットを施して輝きを増したものなどがあった。そのうちに3本脚の2色LEDというものが登場した。一つのモールドの中に赤と緑の発光素子を並べて封入したもので、電圧のかけ方で赤・オレンジ・緑の表示をすることができた。
 そして青色LEDの登場である。店先できれいな青色を発光する素子に見入ったものである。しかし、あまりにも高価で豆電球代わりに使えるものではなかった。その後すぐに白色LEDが出始めたが、まだ豆球代わりの表示灯という使い方くらいしか考えつかなかった。
 その後、LEDは高輝度化が進み、同じ電流でもとても強く発光するものが作られ、赤・緑・青の3原色を一緒にしたマルチカラーLEDが姿を見せた。それぞれの電流を制御することで色を自在に変えることができるようになった。白色LEDは単に表示用だけでなく照明用としても使える高出力化が進んだ。初期のころの目を刺すような強烈な白ではなく暖かみのある電球色もできてきて、照明としての用途が広がってきた。
 一方、表示灯としてのLEDも進化が進んでいる。さまざまな色のものが作られピンクやムラサキ、またパステルカラーのLEDまである。電圧を加えるだけで自動点滅するものやマイコンを内蔵し信号を送るだけで色を変えるものまで現れた。形もさまざまで表面実装のものでは虫眼鏡でなければ見えないほどの微少なものやドットマトリックスという複数の素子を整然と並べたものもある。

 最近、おもしろいLEDを見つけた。発光素子の後ろ側に反射鏡を封入したものである。これまで発光素子の前部分をレンズ状にしたモールドで放射角を狭めたものはあったが、反射鏡と発光素子を一体化するという発想に出会ったのは初めてである。形状は円錐台、8mmφほどの大きさで、リフレクターの働きでその全面から光が出ているように見える。このLEDをどんなところに使うか、考えるのが楽しみができた。

 表示灯から照明分野にまで広がってきたLEDである。人間の眼では見えない紫外線や赤外線の領域まで発光する素子ができているという。植物の成長や動物の生態などへの応用が期待されている。次はどんなものに出会えるかワクワクしている。