XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

Old Gadget

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昔作った測定器

 タイムスタンプを見ると2006とあるので、もう14年も前の作品である。KD1JV Steveさんの発表された回路でNorcal Qrp ClubからTuner Upperという名称でキットが発売された。水晶発振子を使って発振したRF信号をインピーダンスブリッジに供給する。そのブリッジの一つにアンテナ回路を接続し、ブリッジの3つの抵抗は50Ωとしておく。アンテナのインピーダンスが50Ωになるとブリッジが平衡してブリッジの交差した部分の電流が流れなくなる。これを利用した測定器だ。
 電流が流れなくなる部分にLEDを入れておけばアンテナのインピーダンスが50Ωに近づくにつれLEDの明るさが減り、平衡した状態で消えることでアンテナのインピーダンスを50Ωに合わせる表示器となる。
 その後、Jackson Press HarberからTenna Dipperという回路が発表された。これは発振周波数を可変にしたもので、いくつものバンドでこの測定ができるようにしたものだ。
 今では主流になっているアンテナアナライザーも同様な仕組みで、表示がグラフ化されて大変わかりやすく使い勝手が改善されている。

 埃をかぶっていたTuner Upperを持ち出してきた。MLAの調整に使えるか試したのだ。測定の仕組みは昔も今も大きくは変わっていないので、もちろん、使うことができた。MLAの場合、同調点が大変に狭いので、LEDの輝きでそれを見つけるのは容易である。MLAのキャパシターを大きく動かして、LEDの変化を確認し、大まかなところを見つけておく。その付近でゆっくりキャパシターを変化させ、LEDが消える位置を探す。言葉で書くと長くなるが、ほんの少しの手順で同調点を見つけることができる。
 この昔の測定器はSWR計を使ってトランシーバーから電波を出して調整するよりも、微弱な電波で測定することができるので、ほかの方へ迷惑をかけることが少ない。コンパクトな測定器なので携帯にも便利である。技術がどんどん進んで、日々新しい製品が生まれているが基本的な原理は変わっていないことが多い。マニュアルに首っ引きで新しい製品を使うよりも、身の丈に合った中身のわかるものを使い、自分なりのスピードでアマチュア無線を楽しんでいく。そんな道もあってよいのではないかと考えている。

 それにしても昔作った機器が部屋の中を占領している。断捨離をしなければならないといつも思っているのだが行動に移せない。「身体が動くうちはもう少し」と、言い訳が続く・・・・・。