XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

計算の面白さ

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トラップEFHWの長さを計算で導く

 もちろん、百ます計算のように計算をすること自体の面白さではない。モノを作っていくとき、試行錯誤をしながら進めていくのだが、それが予想通りに進められた時の面白さである。
 トラップを使った3バンド対応のEFHWアンテナを作った時のことである。20m、30m、40mバンド対応という仕様を考えた。20mと30mのトラップを作ることになる。Kits and Parts dot Comというトロイドコアを販売しているサイトに、トロイダルコアと巻き数などの関係を計算してくれるページがある。このページを利用させてもらい、周波数とキャパシタの値を入れて巻き数を計算する。今回はコンパクトに作りたかったのでT37#6というコアを使った。14.06MHzで68pFとすると25回巻けばよいことがわかる。10.13MHzの場合は120pFで26回巻くことになる。
 エレメントの長さはこれまで製作したときのデータからとりあえず、10.1m=2.7m=3.83mとして組み立てた。トラップの仕様が前回のものと異なるので、当然、この長さは要調整である。アンテナを伸展して測定してみる。それぞれのバンドの近くで整合点が見られるが最良点はだいぶずれている。
 まず、20mバンド。最良点の位置を探ると13.45MHz付近となっている。この時のエレメント長は10.1mであるので目的の14.06MHzに動かすためには
λ×f=300という波長と周波数、速度の関係から波長と周波数は反比例の関係になっているはずである。従って 13.45×10.1÷14.06 から9.66mという値を得た。10.1-9.66から44cm短くすればよいことになる。短くして測定すると14.06MHz付近でSWRが1.1になっていた。
 同様に30mバンドでは最良点が10.31MHz付近になっていることから
(9.66+2.7)×10.31÷10.13 で12.58mにすればよいことがわかった。そこで
12.58-9.66-2.7 から22cmエレメントを伸ばすことにした。これも測定してみると10.13MHz付近でSWRの最良点になっていた。
 最後は40mバンドである。測定すると現在の状態では最良点が7.67MHz付近になっている。エレメントの長さが足りないようだ。そこで
(9.66+2.7+022+3.83)×7.67÷7.01から 17.95とすればよいことがわかった。17.95-16.41で1.54mを継ぎ足すことにした。測定でも7.01MHz付近でSWRの最良点を確認できた。 ものづくりは試行錯誤で課題を解決していくのが醍醐味だが、こうして計算で求めた値が思い通りの結果を出してくれた時、面白さを感じる。理論はそうなっていると言ってしまえばそれまでだが、こんな些細な場面でも達成感が味わえるものである。