XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

ロマン


 壮大なスケールの抗争とドラマティックな筋立てを縦糸とし、青春の叙情性と深く湛えられた神秘性などを横糸として織りなされた(長編)物語。
 厳しい現実(退屈な毎日の生活)に疲れがちな人々が潤いとして求めてやまない世界。また、それを求める心。
 三省堂新明解国語辞典第5版によると、このように書かれている。私の感じているのは後者のようである。大きな設備と電力で遠距離との交信を狙うのではなく、より貧弱な設備と電力で、ほとんどの要素をその時の伝播状況に依存して交信できることを狙う。自力よりも自然の力に頼った交信。頑張ったからできたのではなく、たまたま条件がそろったからできた交信。QRP通信を私はそのように捉えている。
 新スプリアス規制が2022年12月から施行されるに伴い、その基準に適合していない機器は使えなくなる。現在、総通に登録している機器を、それ以降も使っていくものと、飾りにするものとに振り分けなければならなくなった。新基準に適合していることが認証されれば2022年12月以降も使えるわけである。私のほとんどの機器は自作であり、実用性よりもロマンを求めるものである。普段ほとんど使わないものであっても、ロマンを求めて使うつもりなら認証を受けなければならないのだ。
 もともと、この新スプリアス規制は、携帯電話やItoTなどの微弱電波使用機器が生活の中でさまざまに使われるようになり、電波資源の枯渇に伴いよりクリーンな電波環境を作らなくてはならなくなったのが理由のようである。その主目的は、それら携帯電話やItoT、ネット接続機器の相互干渉を防止するための対策であるのだが、電波法の枠内では、同じ無線局としてアマチュア局にも同様な網がかけられることになるのだ。
 

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手作りしたQRP機器


JARDに持ち込んで0.5Wや1W出力の機器を測定してもらった。いくつかの機器は基準に適合しないことがわかり、お蔵入りが決定した。QRP機でも実用性を増すように出力を大きくした機器に問題が多かったようだ。しっかりと設計された機器は新基準に適合することが認証された。認証された機器によって私のロマンは生き残ることができた。このところ自分の気力と体力が落ちてきて、どこまで楽しめるかはわからないが、ロマンは失いたくない。