XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

送信機の増設

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キットを作り上げたら増設手続きが必要

 

 新しいリグが組みあがった。しかし、日本の法律では無線局で使われる送信装置は事前に検査を受けて技術的要件を満たしていることを確認し、許可を得たものでなくては使用することができない。メーカーで売られている無線機は技術適合認定を受けたものがほとんどなので、どのメーカーのどの機種を使うかを届け出れば許可が下りる。しかし、自作機や外国製の機器では自分でそれらの手続きをしなければならない。
 電波環境をきれいにしておくためには致し方のない措置ではあるが、自分で作ったキットの場合、このリグが規制に適合したものであることを証明し、その旨の保証認定を受け、さらに新しい機器の増設という届け出をしなければならない。厄介なことである。

 スプリアス規制が強化され、それをクリアしなければならない。スぺクトラムアナライザーという測定器で調べるのだが大変高価で個人で購入するのは難しい。そこでJARD(日本アマチュア無線振興協会)の測定室をお借りすることにした。とは言っても、高価な機器を自分で操作できるはずもなく、持参したリグを操作し、測定は担当の方にしていただくのだ。部屋の使用料という名目で2200円を支払うのだが、測定データーをいただけるので、それを保証認定の資料として添付することができる。保証認定が得られれば、総合通信局に新しい送信装置の増設として届け出をすることができる。

 事前に予約をし、測定室を訪ねた。担当の方が測定器の並んだ部屋に迎え入れてくれ測定が始まる。規定の周波数で送信できるようにセットし、断続波を送信するための装置を取り付ける。信号の帯域幅や近接スプリアス、広域スプリアスなどを測定する。一番問題になるのは第2高調波だが、これが規定値内に収まっていればほぼ適合と認定されるようだ。測定データをいただいて退出する。時間的には1時間もかからなかった。

 この適合とされたデータと送信機の系統図を添付書類として、総務省電波利用電子申請・届出システムliteのサイトから設備変更の申請書類を作成する。ただし、総務省への送信はせず、データを保存しておく。次にJARDのアマチュア局基本保証のサイトから保証認定の申請をする。この際、総務省のサイトで作成した届出のデータを添付することになる。
 保証認定が行われ、認証が得られるとその旨のファイルがJARDから送られてくる。そのファイルを保存してある届出のデータに添付し、総務省のシステムに送る。審査の状況はサイトから確認することができ、審査が終了したことがわかったら、所轄の総合通信局あて免許状を送ってもらうための返信用封筒を送る。免許状が届けば新たな送信機の増設手続きが終了である。

 メーカー製のリグならば直接総務省に届出をすればよいだけなのだが、自作機やキットの場合には煩雑な手続きが必要なのだ。費用も掛かり、ほぼキットの値段と同じくらいかかってしまう。自作は楽しいのだが、このような環境は自作派には厳しいものがある。