XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

QRPの面白さ

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MLA QRPでの庭先移動運用


HF帯の伝播はさまざまな条件が重なってミステリアスである。全く聞こえなかった局が微かに聞こえるようになり、それが波を打つように大きくなったり小さくなったり不安定な状態が続く。突然、すぐ近くから電波を出しているかのように、明瞭に大きく聞こえてくることもある。また、消え入るようにすーっと聞こえなくなることもある。
直進性の強いUHF等の電波では見通しでの伝播が基本であるので、アンテナの利得と送信電力にほぼ比例して伝播状況が変化する。しかし、HFでの伝播は電離層や地上等との反射や屈折などさまざまな経路で電波が伝わっていくので、機器の性能だけではない要素が大きく影響する。

私の運用スタイルは基本的にQRPという小電力で、アンテナもシンプルなものを使っている。機器の性能としては貧弱なのだが、それでも、伝播状況(コンディション)によって思いも寄らないところと交信できることがある。機器が貧弱だからこそ、コンディションへの依存が大きく、遠いところの局と交信できた時の喜びは大きい。自分の力に依るのではなく「運」に恵まれた「ラッキー」という喜びである。
今日の交信も、嬉しいものであった。いつも使っている机の上の無線機で数局と交信し、たくさんの局が聞こえていることを確認した。このコンディションならおもしろい伝播に出会えるかも知れないと、庭に出てみることにした。
用意したのは単三乾電池とほぼ同じ大きさの14500というタイプのリチウム電池2本を内蔵したトランシーバー。約8Vの電圧が得られ、出力は2W程度出せる。アンテナは同軸ケーブルを直径80cmに丸めて、その両端をキャパシタでつなげたエレメントに、20cmφほどのリングから給電するようにしたMLAという自作のアンテナである。
使用した周波数は7MHz帯で、波長は40mある。この電波を小さなアンテナに乗せるのだから効率がよいわけがない。それでも同調をとると多くの局が聞こえてくる。大きな音で聞こえる局に呼びかけてみるが、なかなか取ってもらえない。相手は数百ワットという大電力で大きなアンテナを使用していく局なのかも知れない。そんな中で和歌山に移動していく局が聞こえてきた。移動局では50W以下の出力で、アンテナも簡易なもののはずである。呼びかけてみると応答があった。599ー599のレポートである。交信が成立したのである。
直径80㎝、地上高1mの小さなアンテナ、出力2Wという小電力でも430kmほどの距離を電波が飛んでくれた。思いがけない伝播に思わず笑みが浮かぶ。これだから無線はおもしろい。自然を相手にした最高の遊びである。