XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

「はやぶさの帰還」 ご苦労様でした

黒龍山のアザミ

 26日は元旦以来の部分月食が起きたのだが、梅雨の季節で厚い雲に覆われ、見ることはできなかった。極大になるのが20時過ぎということで、ちょうど見やすい条件であったが、残念である。北海道では見ることができたということで、月に地球の陰が写っている写真を見た。月全体に陰がかぶるというのではなく、月面の上を地球の陰が移動していくという月食であった。
 沖縄ではすでに梅雨明けをしたとのことだが、九州を始め各地で大変な量の雨が降っている。地盤が緩み、今話題になっている”深層崩壊”が起こらないことを祈るのみである。東京地方は雨がちではあるが、雨量としては少ないようだ。気候変動が様々な形で起きているので、日々の天気を広い視野で見ていく必要がある。

 6月13日23時頃、”はやぶさ”が帰還した。7年目に地球を飛び立ってから幾多の苦難を乗り越えて、奇跡的に戻ってきた。あの日、どの報道機関もトップで帰還を取り上げ、日本中がはやぶさに関心を寄せたが、やっとお祭り騒ぎも落ち着いてきたようである。
 これまでのミッションの中で小説より希な様々な出来事があり、”はやぶさ”が何か人格を持って自分の意志で地球まで戻ってきたように思えてきた。大気圏への再突入に向けてカプセルを放出し、その反作用で姿勢を崩しながらも燃料の放出を使って姿勢を立て直し、航行用レンズで地球をとらえた。その最後に見た地球の姿を電送している途中で通信が途絶え、オーストラリア・ウーメラ砂漠の上空に光の筋としてその生涯を終えた。
 どうしても擬人化して考えてしまうはやぶさの生涯である。一つのミッションを身を挺してやり遂げた。技術実証衛星として様々な技術的成果を上げただけではなく、幾多の障碍に対して工夫を重ねながら乗り越えてきた運営自体が大きな成果であったと思う。イトカワに着陸し、持ち帰ったカプセルの成果がどのようなものであるかは大変興味があることだが、それ以上に、人間の意図を託された”はやぶさ”が60億キロ・7年間もの旅をして戻ってきたことに感動するのだ。カプセルの長い光の筋の脇を、幾筋もの光となって散っていくはやぶさの最後に言葉を失った。
 「思ったことは必ず実現する」とは誰がいった言葉であるか定かではないが、このような事実を前にすると、人間の英知のすばらしさを喜ばずにいられない。一見大きな無駄遣いの様に見え、「仕分け」の対象にされかねない事業だが、人間の根源に関わる営みのように思う。ぜひ、このようなチャレンジを続けていきたいと思う。

 この書き込みで、200回を迎える。そして個人的にも記念すべき月である。記念日にこの書き込みをするつもりであったが、やっと書くことができた。