XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

”馬の背”を渡る

馬の背

 6月に入り、ようやく気温が上がってきた。朝は必要でも、昼近くなると上着が邪魔になるような気候になった。今年は冷夏ではないかという声が聞こえるほど天候が不順であるが、暦の進行に従ってやっと夏が近づいたことを肌で感じられるようになった。
 しかし、6月といえば、じきに梅雨である。今年のように高気圧や低気圧が変則的に動いている状況では、例年のような梅雨になるのだろうか。空梅雨も困るが、集中豪雨のようなことも困る。穏やかな天候を願うばかりである。

 以前から気になっていた「馬の背」に行ってきた。群馬県南牧村の黒瀧山である。古い歴史を持ち、かってはたくさんの末寺を持っていたという黄檗宗の禅寺・不動寺の近くにあるナイフエッジのような切り立った地形である。話には聞いており、ネットでもたくさんの方が踏破記録をアップしているところなのだが、前回、不動寺まではたどり着いたものの、天候に恵まれず、渡ることのできなかった場所である。
 早朝に食事もせずに家を出て、下仁田のインターを降り、対向車が来ないことをひたすら祈りながら細い道を登ること約1時間。7時過ぎには不動寺下の駐車場にたどり着く。乾いた路面でも、急な傾斜のためタイヤが滑り、ヒヤヒヤしながら駐車場に車を入れることができた。
 身支度と腹ごしらえをしていよいよ出発。不動寺の宿坊で挨拶をし、その前を黒瀧山へと向かう。目的の”馬の背”は思っていたよりも簡単にアクセスすることができた。すぐ近くまで車の通れそうな林道が接続していたのである。(ただし、かなりな急傾斜の道なので通常の車が走れるかは?である。)
 最初からハシゴのお出迎えである。目の前に大きな岩が立ちふさがり、その岩を超えなければ先に進めない。そのためにハシゴが備え付けられている。はしごを登り切り、さらに進むと”馬の背”が見えてきた。幅は数10cm、右側はほぼ垂直に切れ込んでいる。左側は急な斜面が下の不動寺の方に続いている。長さは10mはなさそうである。安全のために通路の右側に鉄の杭が打ち込まれ、それらを鎖が繋いでいる。
 がけの下を覗いたら恐怖のために脚がすくんでしまいそうである。風の吹いてこないことを祈りながら、真っ直ぐ前を見て渡り切った。渡りきっても広場があるわけではない。すぐに次のハシゴが待ちかまえている。狭いところに立ち止まっていることはできず、先に進まなくてはならない。ほぼ垂直なハシゴを両手で身体を支えながら登る。ハシゴには両側に手すりが付けられているが、そこを握る余裕はない。はしご段をしっかり握りながら登る。登り終えたところで撮った写真がこれである。
 この地域の山は、妙義山荒船山などのように、土の山ではなく岩の山である。土に覆われているところもあるが露岩がそこかしこにある。そこを手がかり足がかりを探しながら登る。ルート解説には「中級者向け」となっていたが、十分にスリルを味わうことのできるコースであった。