XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

えさ台

誰が餌を食べに来ているのか?

 この辺りはほぼ住宅街なのだが、さまざまな野生生物が暮らしている。川沿いを散歩しているとタヌキを見かけたり、アライグマのシマシマのしっぽを見ることがある。川の中を2m以上もあると思われるヘビが泳いで向こう岸に渡ろうとしているもの見かけた。いろいろな種類の野鳥もいる。最近騒がしいのがヒヨドリ。仲間を呼んでいるのか特徴のある鳴き声が始終聞こえる。夕方ムクドリの大群が電線に列をなしていたり、一斉に川に飛び込んで水浴びをしていることがある。庭木に来るメジロシジュウカラの可愛らしい姿にはほっこりする。近くの川では留鳥カルガモが幼鳥を引き連れていたり、季節によってコガモオナガガモマガモカイツブリ、カワウ、コサギアオサギなどが見られる。キィという鋭いなき声で水面を見るとカワセミがハンティングをしていることもあった。
 人間の領域と勝手に思いこんでいるのだが、実はさまざまな生き物と共存しているのだ。

 我が家の小さな庭にエサ場を設けた。小鳥たちが来てくれればとの思いである。毎朝仏壇に上げるご飯のお下がりを乾かして庭に撒いていた。キジバトやスズメが来て啄んでいる姿が見られるようになっていた。時々はムクドリが急降下してきてスズメを追い払っていることもある。朝エサを撒くと昼過ぎにはきれいに無くなっている。ところがしばらくして鳥の姿を見かけなくなった。それでも撒いた米粒はなくなっている。不思議に思っていると、ある日視野の端を小さな動物の陰が横切ったのだ。その動物が食べているようだ。その後も何回か姿を見ることがあり、どうもクマネズミのようなのだ。
 昔の家屋は隙間が多く、外からネズミが入り込み、天井で運動会をしている音が聞こえたものである。しかし、最近の家屋は密閉性がよく、家の中に進入することはないのでネズミはこのあたりから居なくなっていると思っていた。しかし、生息していたようだ。

 小鳥にはエサをあげて、ネズミにはエサをあげたくないというのは人間のエゴなのだろうが、ネズミにいたずらをされるのは困るので、増えてはほしくない。ネズミにエサをとられない工夫をしなければならない。
 最初の対応はえさ台を設置することだった。鉢皿を針金で吊すように細工し、エサ場の上の枝から吊した。50cm程の4本の針金で吊した。地上から30cmほどの高さである。これならネズミは近づけないだろうと様子を見た。ところがネズミは枝を伝い、針金を伝ってえさ台に侵入した。食べ終わるとえさ台から飛び降り、姿を眩ませたのだ。恐るべき身体能力である。
 次の対策はえさ台を吊す針金を1本にした。まさか2mmφほどの細い針金を垂直に降りることは出来ないだろうと考えた。しかし、また侵入した形跡が見つかった。
 それならと、枝から吊す部分にネズミ返しのシェードを付けることにした。プラスティックの円錐形ならネズミの爪も滑って侵入できないだろうと踏んだのだ。この成果は観察中である。すぐにエサがなくなることはなくなり、少しずつ減っている。でも、小鳥が食べに来ている姿は見かけない。誰が食べているのか不明なのだ。
 小さな庭にはたくさんの種類のチョウやハチ、バッタ、トンボなどが訪れる。自然の中で共存しているのだから当たり前なのだが、ネズミに手を焼くとは人間中心の思考からは抜け出せないものである。