XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

電信符号の分析

打鍵を視覚化

 モールス符号は長点・短点・スペースの組み合わせで文字を表現する。それぞれの時間的長さの比率については定められており、そういう意味ではデジタル信号とも言えるであろう。しかし、人間が手動で電鍵を操作し符号を生成するので、その比率はいつも正しいとは限らない。しかし、耳で聞いて符号を解読するのも人間なので、多少比率のズレがあっても解読できる。逆にそのズレがあるから、単調な符号の流れであってもその人の癖が表れ、また感情を込めた符号にすることが出来る。モールス符号はデジタルとは言っても比率の振れ幅は多少は許容される。.だが、あまりに規定された比率からズレてしまうと大変に聞きづらい符号になってしまう。
 このモールス符号の短点・長点・スペースの比率を計測するアプリがA1クラブで限定的に公開された。JA4AZS片山さんのMorstat(Morse Statistic)というアプリだ。
 利用させてもらうため申し込みをし、ダウンロードサイトを教えていただいた。操作説明書やPCと電鍵のアダプター回路図、Arduinoのスケッチはダウンロードできたのだが、アプリ本体をダウンロードすることが出来なかった。MSのセキュリティーに引っかかっているようだ。途方に暮れて片山さんにお尋ねすると、「申し訳ありませんが、基本的に「ノークレーム・ノーサポート」ですからこのくらいのことはご自分で調べて解決してください」と叱られてしまった。確かにアプリ公開の条件として片山さんから「ノークレーム・ノーサポート」が示されており、安易にお尋ねしてしまったことを反省した。そこでダウンロードできないことをチャットAIに聞いてみると、「別のブラウザで試してみては」とのアドバイスがあり、Chromeから接続してみるとアプリ本体のダウンロードができた。
 早速アプリをインストールして動作させてみると初期画面は出るが動いてくれない。操作説明書をもう一度読むと「最初に作業フォルダーを作成しておくこと」を見逃していたことに気づいた。作業フォルダーを作成してからインストールをやり直すと動作が始まった。
 電鍵を接続するためのAruduino nanoは電鍵入力と圧電素子、LEDを取り付けるだけの簡単な工作で、片山さんから提供していただいたスケッチを書き込むことですんなりと動作させることが出来た。アプリからのメッセージもこのアダプターの音で出てきた。
 モールス符号を打鍵してみる。耳で聞いていると特に違和感のない符号だと思うのだが、思い通りの文字にデコードされず、レーダーチャートで表示された分析結果をみるとスペースのズレが殊の外大きいことがわかる。耳で聞くのとPCの分析では大違いのようだ。規定の比率からのズレが少なければチャートに表示される5角形が小さく中心部に纏まってくるようだ。自分の癖が視覚されれている。
 操作説明書にあるアプリの画面と私がダウンロードしたものでは画面が異なるようで撒布図表示や個性診断は見ることが出来なかったが、レーダーチャートだけでもとても参考になった。
 アナログ的なデジタル信号、モールス符号は短点・長点・スペースの比率規定からの多少のズレを活かしながら、相手にわかりやすい符号であることが望ましい。こうしたアプリを使わせていただき自分の符号を振り返ることが出来るのは有り難いことである。