XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

CW Check

f:id:shig55:20211020093923p:plain

CW技能検定アプリ

 

 電信は難しい。モールス符号を覚え、とりあえず交信ができるようになるのはそれほど難儀ではない。約号を使ったり、決まり切った内容の送受だけの短時間の交信なら容易である。しかし、平文のやり取りとなると単語の数も多くなり、聞いていて心地よい符号を送りあうには習熟が必要である。
 モールス符号は通信を行うための符号なので、その符号構成については規定が定められている。短点の長さを1.0とすると,長点3.0、符号間1.0、文字間3.0、単語間7.0が基準である。手送り送信で行うので多少のぶれが出るのだが、聞いていて心地よい符号を送るには極力、基準に近いことが求められる。つまり、ぶれがあったとしてもその偏差は最小である必要があるのだ。
 エレキーを使った場合、短点・長点・符号間の長さはパドルの操作に対して補正が加えられる。そのため、ほぼ基準に近い符号を打つことができるのだが、字間や単語間の長さは補正が効かず、パドル操作の如何によってその品位が決まってくる。更に、縦ぶり電鍵で操作する場合にはすべての要素が操作者の技量に係ってくるので、きれいな符号を送るのは至難である。

 この技能を確かめるためのアプリがテスト版ではあるが公開されている。JA3CLM高木さんのDSCW(Digital Sound CW)のサイトである。CW Check(CW技能検定)というモールス符号を構成する要素の偏差値を集計して判定を出してくれるアプリである。
 早速試用させていただいた。サイトからZipファイルをダウンロードし解凍すると必要な情報が得られる。PCと電鍵を繋ぐインターフェースにAruduino Unoを使っている。Aruduino UnoはUSBのインターフェースを搭載しているのでそのまま使える。電鍵入力を行う簡単な工作のシールドを乗せ、モールス音を聞く為の圧電スピーカーもシールド上に取り付ければ動作する。
 このアプリは欧文にも和文にも対応していて、それぞれ問題文が出され、それを電鍵やパドルで入力していく。3級から名人位までランクがあり、文字数と制限時間が異なる。当然上位になるほど速いスピードできれいな符号を送ることが求められる。
 説明書にも、アプリによる符号の正誤判定が難しいと書かれていたが、きれいな符号を入力できればすんなり合格をもらえる。しかし、符号にならないような入力をするとアプリが動作を止めてしまう場面もあった。下手な入力では相手のもしてもらえないアプリである。ある程度上達して入力すると、数値によって具体的な品位が判定される。丁寧に平文を打てるようになるための励みになるアプリである。
 作者の高木さんは説明文の中で「上級位技能検定に挑戦していただくこと以外に、偏差値をより少なくリズミカルで綺麗なCWが打てるように、電鍵操作技能向上にお役に立てば幸いです」と書かれている。電鍵操作技能の奥深さに向かってさらに進んでいくためのツールを提供していただいているように思う。単に交信ができるというレベルから、綺麗な符号を送れるという更にもう一歩前に進むためにこのアプリを有難く使わせていただきたい。
 それにしても、綺麗な電信は耳に心地よいものである。