XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

ハイバンドが開けてきた 2

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24MHz,28MHz MLA

 

 コンパクトなMLAでもコンディションが開けてくれば電波は飛んでくれることがわかったので、さらに挑戦してみることにした。これまでよりも高い周波数である24MHzバンドや28MHzバンドに挑戦した。
 アンテナの長さは波長に規定される。波長は電波の速さ÷周波数で求められる。単位を調整すると300÷周波数(MHZ)が波長となる。24MHzでは300÷24=12.5となり波長は凡そ12mである。そのため、基本的なダブレットというアンテナの場合には24MHzバンドの場合1/2波長であるの6m、28MHzバンドでは5mの長さが必要である。
 この波長の電波を今回挑戦するMLA(マグネチック・ループ・アンテナ or マイクロ・ループ・アンテナ)ではループとキャパシタによる共振回路によってとても小さなアンテナとして動作させている。
 今回実験したのは150cmのワイヤーと最大容量56pFのキャパシタである。このワイヤーでループを作ると50cm弱の輪にするのだが、真ん中に支えを入れたひし形での実験である。こんな小さなアンテナから12mや10mの波長の電波が飛び出してくれるのだろうかと不安になるのだが、アンテナの進行波と反射波の関係を示す数値である定在波比SWRを測定してみると、ほぼ供給された電力が全て電波として放射されていることを示す1に近づけることができた。
 アンテナは電波を送り出すだけではなく、受け取る役目もある。しっかり受け取ることができれば受信性能が良いことになる。このMLAを使って受信してみると他のアンテナに比べて多少信号が弱いのだが受信できていた。アンテナとして動作はしているが、性能は今一つなのは致し方ない。
 
 ところで、携帯電話やテレビジョン、また衛星放送では高い周波数の、波長がとても短い超短波や極超短波が使われている。これらは直進性が強いので見通し内での通信が基本である。それに対して短波での通信では電離層などの影響を大きく受けるので、機器の性能というよりも自然要因による伝播の状態に負うところが大きい。そこで、このようなコンパクトなアンテナでも条件が良ければ通信ができるだろうという試みなのだ。
 結果は、部屋の中につるしたこのMLAに数wのトランシーバーを繋ぎ、札幌や兵庫、熊本の局と交信することができた。携帯電話のようにいつでも繋がるわけではないが、条件が整えば思いもよらないところと繋がる面白さがある。ものづくりの楽しさと自然を相手にした幸運を楽しむアマチュア無線である。