XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

ひかり

shig552014-10-08

 晴れた週末の山頂、たくさんの人々が初秋の景色を楽しんでいた。そこに突然の水蒸気噴火。多くの人々が被災され、未だ行方不明な方々の捜索が行われている。亡くなられた方々に対して深く哀悼の気持ちを捧げたい。合掌
 この災害に遭われた方が記録した映像が報道されていた。慌てて山小屋に逃げ込む人たちの声、ボコボコと噴出物が降り注ぐ音。窓の外には水蒸気と思われる煙が渦巻いている。そして、真っ暗になる。たくさんの火山灰に山小屋が覆われてしまったようだ。暗闇である。光が遮られてしまうと全く何も見えなくなるという現実。さぞかし恐怖だったろうと想像する。

 今日はほぼ日本全国で皆既月食が見られそうだ。地球の本影の中にすっぽりと月が入るので1時間もの間、暗赤色の月になるのだろう。地球の大気によって拡散された光が月に届くために真っ暗にはならず、波長の長い赤色が優って見えるようだ。

 そして、今朝、大きなニュースが飛び込んできた。ノーベル物理学賞に赤崎勇・天野浩・中村修二の3氏が選ばれたという。20年ほど前に発明された青色発光ダイオードへの賞のようである。今ではこのLEDも一般的なものになり、青色発光ダイオードから蛍光発光させた白色や、3原色を混合させた白色が照明の世界にも普及している。青色の短い波長の利点を生かして高密度の記録素子を作ることにも役立っているようだ。青色LEDがもたらした技術革新は大きな広がりを見せ、その功績が認められたのだろう。
 青色LEDが出始めた頃、この部品が秋葉原の店頭に並んでいた姿を思い出す。赤や緑のLEDが数十円から数百円だったのに、青色LEDは2桁ほど値段が違っていた。興味はあったが手が出せるものではなかった。それが今ではどの色もほぼ同じような値段になり気軽に使えるようになった。ノーベル賞に認められるまでの20数年である。だからこそ、この受賞が重く感じられ、心からの祝福を送りたい。

 光は照明や表示、映像や記録、暖房や殺菌などさまざまな分野で使われている。ヒトの認知できるのは赤から紫までの可視光であるが、動物や植物はまた違った領域の光を感じているようである。眼の感受細胞を調べることによって光のどの領域を受容しているかが調べられているようだ。魚や虫などではヒトよりも紫外領域の光を認知しているものもあるという。光によって見えている世界は、それぞれの生き物によって全く異なっているようである。
 さて、私達は光によっていろいろな恩恵を受けているのだが、どうも、それが当たり前と考えおろそかにしているようである。真っ暗闇の恐怖を忘れてはいけないだろう。その恐怖は一時的であるかも知れないが、もし継続的に、太陽からの光が届かなくなれば地球上での生存は不可能なのである。

 光があること、光の恩恵を受けられることに感謝し、今夜の暗黒色の月を眺めてみたい。