XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

樹間の眺め

樹間の眺め

太平洋上の高気圧と大陸の高気圧の綱引きが続いている。この両者がしっかりと位置を交代すると安定した天候になるのだが、まだまだ時間がかかりそうだ。これらは寒気団と暖気団のぶつかり合いでもあり、その境目では不安定な気象状況になり雹や霰を降らせたり暴風が吹くことがある。急な黒雲が現れてくると待避を考えなくてはならない。荒々しい気象が続いている。

 通勤経路に長い歩道橋がある。歩行者と車の通路を分離するように街が作られたので、大きな道路をまたぐ形で遊歩道が付けられているのだ。ゆったりとしたスロープになっていて、昇るのはきついのだが、それでも階段を昇るよりも楽だしのんびりと歩けばそれほどの苦痛でもない。
 高くなった歩道からはその脇に植えられている樹木を横から見ることができる。普段、地面から見上げていた木々なのだが、自分自身が高所に上がったことで木々の枝が目の前になり、いつもの景色が違って見えてくる。枝から枝へ飛び回っている小鳥たちの姿があり、時にはオナガキジバトと目が合ったりする。下から見上げていた時には木の幹を中心とした構造だったが、横から眺めてみると枝の間に結構スペースが広がり、その枝が幾重にも重なっているのがわかる。木と木が並んでいることで、そこに広がりが生まれ小鳥たちの生活の場になっている。
 木の表情も豊かである。冬芽が少しずつ大きくなっていった。若葉が徐々に成長し、色が濃くなっていくのが見られた。こんな花が咲くんだと、間近で見る樹木の花に感動した。たくさんの花で枝が包まれた時、その芳香の強さに驚かされた。
 公園にはたくさんの木々が植えられ樹木は身近な存在である。木の実を落とすこともあり、たくさんの落ち葉で地面が覆われることもある。自分が地面にたち見上げてきた。しかし、自分自身が高い位置になって、木々の枝の間から見てみるとそれはまた違った表情を見せてくれるのだ。改めて気づいたことである。

 視点の違いがこのような感動を与えてくれたのだと思う。歩道橋の上から眺めるという普段と異なる視点を持つことで、新たな発見があった。自分の世界の中からしか物事を見ることができないのだが、異なる世界に自分を置いた時、そこから見えるものはこれまでとは違った世界なのかも知れない。
 子どもの頃に登った木の上の景色はこんな世界だったのかも知れない。街の中で気軽に楽しめる樹間体験。通勤途中の楽しみになっている。