XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

異動によって

shig552007-04-13

四月に雪が降り、寒さが戻ったおかげで長く楽しめた桜もさすがに葉桜になった。大島桜、ソメイヨシノ、しだれ桜と順番に目を楽しませてくれた。もう少しで八重桜が見頃になる。少しずつ少しずつ春になっていくのもよいものだ。木々の芽も伸び出している。柳の柔らかな緑がとても美しい。

四月は異動の時期。職場が変わり、通勤経路が変わり、周りの人間関係も大きく変わった。新しい環境に馴染み、自分の居場所を定めていくのは年をとるごとにしんどいことになっていく。
まず、名前が覚えられない。名簿を片手に会う人ごとに顔と名前を結びつけようと努めるが、なかなか結びつかない。「若い頃は・・・」とつい愚痴を言いたくなる。
職場ごとのシステムの違いも大きい。同じ組織なのだから仕事の進め方に違いがあるわけではない。同じなのだが何かが違う。分掌の範囲の違い、稟議の根回し、そのような大きなことではないわずかな違い。違和感と言ったものなのか、なかなかなじめないのだ。

通勤が変わったことでいろいろ発見があった。これまでは都心方向に出ていたので朝はいつもラッシュの中を泳いでいた。人の流れの中を進んでいたのだ。今度の職場は住居からは逆方向。郊外へ向かう方向である。電車は必ず座ることが出来る。郊外の駅に着くと駅に向かう人の流れを避けながら職場へ向かう。人々の流れと逆の方向に歩くのだ。「我が道を行く」と言えば格好いいが、人の流れから取り残されたような感じがある。
駅についても新しい発見をした。ホームに待合室があるのだ。電車が来るまで待っている部屋である。周囲にガラスのパーテーションを巡らし、空調設備とゆったりした椅子が設えてある部屋である。要するに、そこで待っていなくてはならないほど電車の間隔が開いているのだ。準急・快速・急行と次々に通り過ぎていく。各停の電車が来るまでひたすら待たなくてはならない。

異動はマイナス面だけではないハズだ。気持ちも新たに取り組むことが出来る。見えないものが見えてくる。これまでの経験と違う現実に遭遇することで、そのことの本質を考える機会になる。「前任の所ではこうだった」という前に「ここではどうしてこのようになっているのか」そのわけを探ることが出来る。そこに先人の創意工夫と知恵が見つけられる。
四月は気疲れがあるのだが、五月に一休みして本格始動が出来そうである。身の回りの変化がまた新しい世界を作ってくれそうである。

職場の周りは空が広かった。四角く切り取られた空ではない、広がった空だ。ウグイスのつがいが目の前の木の枝に飛んできた。これも異動のおかげかな。