XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

野外運用

QRP CW 野外運用

 相変わらず暑い日々が続いている。先日は河畔で行われる花火大会の屋台でガソリン引火による事故が発生し、3人の方が亡くなり多くの人々が負傷したという。予備タンクから発電機にガソリンを給油しようとした際の事故のようである。楽しいはずの夕涼みの行事がこのような悲惨な事故になってしまい、哀悼の意を表さずにいられない。
事故は取り扱いの慣れから起こることが多い。今回の事故原因については調査中であり詳細はわからないが、予備タンクの蓋を開けたところ急激にガソリンの蒸気が噴き出したという目撃証言もあるようだ。この暑さの中で野外に置かれた密閉容器の中でガソリンがどのようになっていたかを想像する。相当に圧力が高まっていたはずである。通常なら少し蓋を緩め減圧をして給油を行うところだが、人の混み合う中で人々に向かってガソリンの蒸気が噴き出してしまいパニックになったのかも知れない。ガソリンの怖さを改めて知らされ、扱いの基本動作を守ることの大切さを確認させられた。
 大きな火傷を負った人たちの一日も早い回復を祈りたい。

 東日本大震災では日本アマチュア無線連盟から無縁局免許をつけた数百台の無線機が被災地に送られた。携帯電話の基地局などが被災し、通信網が途絶した中でこれらの無線機が避難所間や行政機関や救援団体間、孤立した地点との間の通信を担っていた。インフラとしての通信が回復するまでの間、混乱期には個々の被災者が自力で状況に立ち向かわなくてはならない。状況を伝達し、外部からに救援を求めるにも通信は重要である。たとえハンディ型のトランシーバーでも救助・救援などのさまざまな場面で活用されたとのことである。
 一方、被災していない遠隔地への情報伝達も重要である。被害の少ない地域からの情報は入りやすいが、甚大な被害がある場所や孤立したところからの情報は入りづらい。そのために長距離の通信が可能なHF帯のアマチュア無線は有用である。小さな出力であっても国内や近隣の国々辺りまでは交信可能であるからだ。
 アマチュア無線の楽しみ方に野外運用というジャンルがある。屋外に無線機などの諸々の設備を持ち出して運用する。居住地ではなかなか伸展できないようなアンテナも張ることができ、山の上などロケーションのよいところでは電波の飛びもよくなるのだ。
 逆に野外での運用では、必要なすべての装置を自己調達しなければならない。電気も来ていないところなので電池なども必要である。ちょうど被災してすべてを自力でやらなければならない状況と同じである。東日本大震災では東京と大阪に通信統制局が置かれtwiterと連携した情報伝達が行われた。アマチュア局でも広範囲通信ができるのである。
 今回の野外運用は写真のように小さな蓄電池を電源とし、アンテナは数mの高さに線を張ったEFHWという簡単なものである。トランシーバーは4W程度の出力であるが関東・東海・甲信エリアと交信できた。アマチュア無線は趣味ではあるが、多くの人たちがこのような通信手段を持っていることが、災害時など平常の生活が崩れたときには強みになると思う。非日常の生活を想定し、それを日常の中に組み入れておくことが大事なのだ。