XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

つるし飾りづくり

ふくろうのつるし飾り

 東京マラソンが行われた。青空は望めなかったが、雨も降らず気温もまずまずのコンディションだった。新宿からビックサイトまでのコース(10kmコースは日比谷まで)には、世界からの招待選手をはじめ市民ランナー、車いすのランナー、中には松葉杖のランナーもいてそれぞれの走りを楽しんでいた。「マラソンは日本の文化だ」という声もあるが、走ることを楽しめることは有り難いことである。

 「まちかど雛めぐり」というイベントが人形のまち岩槻で行われている。毎年ひな祭りの時期に行われている行事で、職人さんの作品や商店に伝わる古い人形などが街中に飾られる。散策しながら見学するのも楽しいのだが、木目込み人形の製作やつるし飾り作りを体験できるイベントも行われている。
 今回はつるし飾り体験をさせてもらった。つるし雛とかつるし飾りと言われ、布で作った人形や花、薬袋、縁起物などをひもに吊した飾りは各地にある。庶民が子どもの健やかな成長を願い、着物の切れ端を使って手作りしたもののようだ。その一つ一つに子どもへの思いを込め、食べるものに困らないようにと米俵を、お金に困らないようにと巾着を、健康であるようにと大根や薬袋を、など一針一針手作りしたものである。
 コミュニティーセンターで行われた体験会は整理券が配られるほどの盛況で、たくさんの方が針仕事を楽しんでいた。1種類500円で材料と型紙を受け取るがどのように作るかは指導を受けることになる。話をしながら少しずつ作っていくことが楽しいのである。その人その人の個性が出て、それぞれ異なった作品になっていく。
 私が作ったのは「ふくろう」である。森の番人と言われる聡明さと福という言葉から縁起がよいとされている。これなら縫うところが少ないだろうと目星をつけて選んだものである。
 腹側と背中側の2枚の花びら型の布を中表で袋状に縫う。突端の部分は折り返して顔の部分になる。中に綿を入れ、身体全体が丸くなるように底の部分を縫い絞る。顔は先端部分を折り下げて赤い糸で留める。目を貼り付け、底の縫い絞ったところにしっぽと布でくるんだ台を付ければ完成である。製作記事

 段飾りのような豪華さではないが、一つ一つ母親が手作りしたつるし飾りは思いの籠もった華やかさがある。専門店で売られていたつるし飾りのセットがとても高価であったのもわかるような気がした。貴重な体験をさせてもらった一日であった。